神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

こうして。

俺は仕方なく、2等車に乗り込み。

ベリーシュは3等車に乗り込んで、王都ファニレスに向けて出発した。

2等車には、ふかふかの柔らかそうな座席がたくさん空いていたけど。

俺は、意地でも座らなかった。

列車の通路に仁王立ちしてた。ずっと。

周囲の乗客は、「こいつ、何で席空いてるのに座らないんだ?」みたいな顔で、不思議そうに俺のことを見ていた。

むしろお前らは、何で呑気に座ってられるんだ?

3等車では、さながら通勤ラッシュ時のようなすし詰め状態なのに。

お前ら、そこ座ってる席、代わってやれ!と怒鳴りつけてやりたいのを必死に堪えながら。

列車はゆっくりと時間を掛けて、長い長い、王都ファニレスまで辿り着いた。

列車が駅に停まるなり、俺は急いで、ベリーシュと合流した。

「ベリーシュ!」

「あ、ジュリス…」

3等車から降りてきたベリーシュは、さすがに疲れた顔だった。

「…大丈夫か?やっぱり辛かったか」

「満員電車状態だったから、ちょっとね。なかなかスリルのある体験だったよ」

微笑んで、茶化すようにそう言った。

…素直に言って良いんだぞ。辛かった、って。

「…少し、何処かで腰を下ろして休むか」

「え?でも…やっと王都に着いたのに」

「良いから。どうせまだベリクリーデも起きてないんだし。ゆっくりしようぜ」

とにかく、今はベリーシュを少しでも休ませてやりたかった。

ホテルで休憩すれば、一番良いのだろうが。

この国のホテルが如何に融通が利かないかは、昨日嫌と言うほど思い知った。

喫茶店か何か…。王都の駅の周りなら、いくらでもあるだろう。




…しかし、ここでも俺の考えは甘かった。