神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

駅に辿り着いた俺達は、王都ファニレスに行く為に、列車の切符を購入しようとしたのだが…。




「…はぁっ!?そりゃどういうことだよ…!?」

切符代を払って、渡された切符には、大きく数字のスタンプが押されていた。

俺は2、そしてベリーシュのは3。

これは何なのかと聞いたところ、とんでもない返事を聞かされた。

なんと、キルディリア魔王国の列車は、大昔の列車みたいに、1等車、2等車、3等車に分かれており。

青カードであるベリーシュは3等車に、オレンジカードである俺は2等車に乗るよう命じられたのだ。

そのことに、俺は怒りを爆発させていた。

おまけにその3等車と来たら、さすがに無蓋列車ではなかったものの。

座席は固く、しかも少なくて、人がすし詰め状態。

ほとんど立ちっぱなしで、王都まで列車に揺られてなければならないのだ。

それなのに、2等車は広々としていて、座席もたくさんあって、楽に座れる。

この扱いの差は何だよ。有り得ないだろ。

昨日のホテルの一件も相まって、余計に腹が立っていた。

こんなところまで差別するつもりなのか、と。

しかし、駅員は俺が何を怒っているのか、さっぱり分からないらしかった。

挙げ句、何を勘違いしたのか、

「大丈夫ですよ、お客様のオレンジ色の証明書なら、2等車に乗れますから」

などと、安心させるように言ってくる始末。

ちげーよ。そういうことを言ってるんじゃねぇ。

「俺も、ベリーシュも外国人なんだぞ。一緒に来た仲間なんだ。なのに何で3等車に…!」

「だって、あちらのお客様は『青カード』…非魔導師なんでしょう?」 

半笑いで、駅員は小馬鹿にするように言った。

「青カード持ちは3等車に乗る決まりですから。外国人だろうと関係ありません」

「だったら…!俺も3等車に乗る。それなら良いだろ?」

「いえ、それは出来ません」

何でだよ。

非魔導師が2等車や1等車に乗れない、というだけではなく。

逆に魔導師も、3等車に乗ってはいけないとでも言うのか。

「切符に記載された場所に乗ってください。でないと、乗車を拒否されますよ」

「っ…!」

文句があるなら乗るな、とでも?

すると。

「…ジュリス、少し冷静になって」

ベリーシュが、俺の服の袖を引っ張って言った。

「良いよ。私、3等車に乗るから。ジュリスは2等車に乗って」

「ベリーシュ…でも」

「王都に行く為に必要なことだよ」

「…」

…お前、何でそんなに物分かりが良いんだ。

自分が酷い差別を受けてるっていうのに…。

「私は大丈夫だから。王都に着いたら会おう」

「…ベリーシュ…」

昨日、ベリクリーデも同じこと言ってたな。

私は良いから、大丈夫だから…って。

…本当は、大丈夫じゃない癖に。