神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

それよりも。

「ベリーシュ、お前は大丈夫なのか?」

「え?」

お前も昨日からずっと、ベリクリーデと同じものを見て、同じものを聞いていたんだろう。

ってことは、ベリクリーデと同じように…ベリーシュも、少なからぬダメージを負っているのでは?

「お前も無理するなよ。疲れてないか?」

「私は平気だよ」

強がりやがって。

ベリーシュは、ある意味でベリクリーデ以上に、自分の弱みを見せないからな。

「それよりも、ジュリス」

「それよりって何だよ」

今、お前の体調以上に大切なことが他にあるか?

「もう一つ、私、君に謝らなきゃいけない」

「何を?」

「私はベリクリーデと違って、クロティルダの気配を探すことが出来ないんだ」

…え?

「ベリクリーデは、朧気にクロティルダの気配を感じ取ってたみたいだけど…」

「…あー…」

そういや俺達、クロティルダを探す為に、遥々この島国までやって来たんだっけ…。

肝心なことを、危うく忘れてしまうところだった。

「私は、ベリクリーデほど感覚が鋭くないから…。…ごめん」

「いや、お前は何も悪くないから。…つーか、俺も分かんねぇし」

分からないのが当たり前なんだよ。ベリクリーデが鋭過ぎるだけで。

今のベリクリーデを無理矢理起こして、クロティルダを探せと言うのも無理な話だし。

俺達が今、出来ることをするしかあるまい。

「とりあえず…ファニレスを目指そうぜ」

「ファニレス…。…王都だよね?」

「あぁ」

さすがベリーシュ。よく知ってるな。

人が集まる王都に行けば、何か情報を得られるかもしれない。

…それに、この忌まわしい港町からさっさと離れたい、という気持ちもあった。

「分かった。王都に行くには…」

「列車だな。よし、駅に行こう」

「うん」

…この後。

俺達にとんでもない事態が待ち受けている。