ベリーシュが教えてくれた。
「昨日の夜までは、ベリクリーデも頑張ってたんだよ」
「え…」
「だけど…今朝、起きるのが辛かったみたいで、私が代わることにしたの」
…起きるのが辛かった、って、それは。
ベリーシュが言わんとしているのは、肉体的な疲労のせいで辛かった、という意味じゃなくて。
精神的な…気持ちの面で辛かった、という意味だった。
「昨日のこと、結構ショックだったみたい」
「昨日って…。…キルディリア魔王国に着いた時のことか?国境検問所で揉めた…」
「うん…。…それと、このモーテルに泊まるまで、行く先々で断られてたでしょ?」
あ、あぁ…。
「ベリーシュ…。お前、見てたのか?」
「うん、実は…。表には出てなかったけど」
そうだったのか…。
別に覗き見じゃない。ベリクリーデと同じ目と、耳を共有しているのだから。
見たくなくても見えてしまうし、聞きたくなくても聞こえてしまうのだろう。
お前も船酔い、辛かっただろうな。
「昨日ね、私、何回か『代わろうか?』って話しかけたんだよ」
「そうだったのか?…でも、ベリクリーデのままだったよな」
「うん。自分で頑張るから大丈夫、って言って…」
「…」
…全然大丈夫じゃないじゃん。
「ちょっと…ね、このモーテルに宿泊してる間も…色々とあって…」
「…色々って何だよ?」
俺が贅沢なホテルの部屋で、惰眠を貪ってる間に。
ベリクリーデとベリーシュは、一体何を…。
「…ちょっと不愉快なことが、いくつかね」
ベリーシュは言葉を濁して、はっきりとは言わなかった。
だけど、大体の事情は察することが出来る。
青カード持ちは、魔導師とは比べ物にならないほどぞんざいに扱われるということは、昨日の体験だけでよく分かっている。
だから、きっと。
俺が昨日から今朝にかけて、快適に過ごした分だけ。
ベリクリーデとベリーシュは、嫌な思いをしながら過ごしていたのだろう。
「それに、ジュリスと離れ離れだったから…。ベリクリーデには、それも辛かったみたい」
「…それは…悪かった」
「君を責めてるんじゃないよ。私も、こうなった経緯は見てたから。君は何も悪くない」
…だけど、結果としてベリクリーデを一人にしてしまったことには変わりない。
いくら仕方がなかったとはいえ。
「今朝、『今日はジュリスに会えるよ』って励ましたんだけどね…」
それでもベリクリーデは、自分で起きることが出来ず。
代わりに、ベリーシュがこの身体の主導権を握って、こうして話している。
「…ベリクリーデは?今、どうしてる?聞いてるのか?」
もし聞いてるなら、励まして、何とか…。
…しかし。
「ううん。…眠ってるみたい」
「…そうか…」
どうやらベリクリーデは、身体の奥に引っ込んで、目を閉じて寝ているらしかった。
「無理に起こすのは可哀想だから…。少し、このまま眠らせておいてあげてくれる?その間、代わりに私が出るから」
「あぁ…。…分かった」
「ごめんね」
「いや、良いんだ…。ゆっくり休ませておいてやってくれ」
ベリーシュの言う通り。
眠っているなら、今は無理に起こすことはないだろう。
「昨日の夜までは、ベリクリーデも頑張ってたんだよ」
「え…」
「だけど…今朝、起きるのが辛かったみたいで、私が代わることにしたの」
…起きるのが辛かった、って、それは。
ベリーシュが言わんとしているのは、肉体的な疲労のせいで辛かった、という意味じゃなくて。
精神的な…気持ちの面で辛かった、という意味だった。
「昨日のこと、結構ショックだったみたい」
「昨日って…。…キルディリア魔王国に着いた時のことか?国境検問所で揉めた…」
「うん…。…それと、このモーテルに泊まるまで、行く先々で断られてたでしょ?」
あ、あぁ…。
「ベリーシュ…。お前、見てたのか?」
「うん、実は…。表には出てなかったけど」
そうだったのか…。
別に覗き見じゃない。ベリクリーデと同じ目と、耳を共有しているのだから。
見たくなくても見えてしまうし、聞きたくなくても聞こえてしまうのだろう。
お前も船酔い、辛かっただろうな。
「昨日ね、私、何回か『代わろうか?』って話しかけたんだよ」
「そうだったのか?…でも、ベリクリーデのままだったよな」
「うん。自分で頑張るから大丈夫、って言って…」
「…」
…全然大丈夫じゃないじゃん。
「ちょっと…ね、このモーテルに宿泊してる間も…色々とあって…」
「…色々って何だよ?」
俺が贅沢なホテルの部屋で、惰眠を貪ってる間に。
ベリクリーデとベリーシュは、一体何を…。
「…ちょっと不愉快なことが、いくつかね」
ベリーシュは言葉を濁して、はっきりとは言わなかった。
だけど、大体の事情は察することが出来る。
青カード持ちは、魔導師とは比べ物にならないほどぞんざいに扱われるということは、昨日の体験だけでよく分かっている。
だから、きっと。
俺が昨日から今朝にかけて、快適に過ごした分だけ。
ベリクリーデとベリーシュは、嫌な思いをしながら過ごしていたのだろう。
「それに、ジュリスと離れ離れだったから…。ベリクリーデには、それも辛かったみたい」
「…それは…悪かった」
「君を責めてるんじゃないよ。私も、こうなった経緯は見てたから。君は何も悪くない」
…だけど、結果としてベリクリーデを一人にしてしまったことには変わりない。
いくら仕方がなかったとはいえ。
「今朝、『今日はジュリスに会えるよ』って励ましたんだけどね…」
それでもベリクリーデは、自分で起きることが出来ず。
代わりに、ベリーシュがこの身体の主導権を握って、こうして話している。
「…ベリクリーデは?今、どうしてる?聞いてるのか?」
もし聞いてるなら、励まして、何とか…。
…しかし。
「ううん。…眠ってるみたい」
「…そうか…」
どうやらベリクリーデは、身体の奥に引っ込んで、目を閉じて寝ているらしかった。
「無理に起こすのは可哀想だから…。少し、このまま眠らせておいてあげてくれる?その間、代わりに私が出るから」
「あぁ…。…分かった」
「ごめんね」
「いや、良いんだ…。ゆっくり休ませておいてやってくれ」
ベリーシュの言う通り。
眠っているなら、今は無理に起こすことはないだろう。


