神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

余談ではあるが、このホテルは、非常にサービスが良かった。

宿泊料はごく平均的なのに。

部屋の中には、豊富なアメニティグッズが揃っていた。

ベッドの毛布もシーツも枕も、無料で何種類も貸し出していたし。

シャワールームに行くと、なんとジャグジー付きのバスタブが。

タオルや石鹸などは勿論、やたら高級そうなシャンプーやコンディショナー、ボディーソープなどが何種類も。

化粧水や乳液、ボディローションなども豊富に揃っている。

数種類の入浴剤も置いてあって、自由に使えるようになっている。

女性の宿泊客の場合、化粧品も無料で貸し出してくれるらしい。

室内のスリッパは、よくある使い捨てじゃなくて、履き心地の良い高そうなスリッパが、きちんとクリーニングされて整然と並び。

柔らかいバスローブ、タオル地のガウン。

シルクのパジャマなどが、クローゼットの中に一揃い。

更に、部屋の中には、数種類のコーヒーや紅茶、緑茶のティーバッグが置いてあったが。

フロントに頼めば、いつでも、無料で淹れたての紅茶やコーヒーを持ってきてくれるそうだ。

無料だぞ。凄くないか?

しかも、飲み物と一緒に、高そうなお菓子までついていた。

全部無料。

一番驚いたのは、無料の朝食である。

宿泊客には全員、無料の朝食が提供されるのだが。

よくある、朝食バイキングなどではなく。

なんと、コース料理みたいに、わざわざ部屋に一品ずつ持ってきてくれるのだ。

これにはびっくりした。

そのメニューも、超本格的なもの。

和、洋の2種類から選ぶことが出来る。

どっちでも良いから、俺は洋朝食コースを選択した。

出てきたのはまず、コーンスープとオニオンスープの2種類のスープ。

それから、焼き立てのクロワッサン、厚く切ったバゲット、デニッシュとパンケーキ、スコーンなどが、かごにどっさりと入った状態で出てきた。

どれでもお好きなのを、お好きなだけどうぞ、と。

パンにつけるバターもジャムもメープルシロップも、全部追加料金なしでついてくる。

それに、卵料理も数種類の中から選ぶことが出来た。

スクランブルエッグとか、オムレツとか、目玉焼きとか、ポーチドエッグとか。

俺はオムレツを選んだのだが、ふわとろのオムレツをナイフで切ると、とろとろのチーズソースが溢れてきた。

俺もこんな、洒落たオムレツを作ってみたいもんだよ。

カリカリに炒めたベーコンや、何種類ものスパイスが利いたソーセージ。グレービーソースをかけたローストビーフ。

サラダは日替わりらしくて、今日のはカラフルな野菜を惜しげなく使ったホットサラダ。

デザートに、小皿に入ったフルーツポンチと、ハチミツ入りのヨーグルトと、小さなマドレーヌまでついていた。

飲み物は、アルコールを含め、無料で好きなものを選ぶことが出来た。

勿論、おかわり自由である。

ちなみに和食の方は、朝から鯛めしだの、茶碗蒸しだのがついてくるらしいぞ。

鯛めしだぞ、鯛めし。朝から食うか?

これが高級ホテルだって言うんなら、まだ理解出来るけど。

俺が泊まってるのは、あくまで、そこらのビジネスホテルだぞ?

有り得ないレベルの贅沢。

しかし、俺はちっとも、くつろいだ気分にはなれなかった。