神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

別に良いじゃん。魔導師だろうと何だろうと。

「俺は魔導師だけど、連れは…」

「青いカードだよー」

まだ何も気づいていないベリクリーデは、青色のカードを掲げて見せた。

それを見た途端、ホテルマンの顔色が曇った。

「…そうですか」

「で、部屋は?空いてる?」

「申し訳ありませんが、本日はもう満室で…」

…出た。やっぱり。

「なぁ、それ嘘だよな?」

さすがに、俺だって気づくぞ。

「えっ…」

「本当は空いてるんだよな?何が問題だ?俺とベリクリーデ…連れの証明書の色が違うのが問題なのか?」

「…」

「まさか、魔導師と非魔導師の組み合わせは客として受け付けてないってことか?」

これまで散々断られたせいで、思わず口調が荒くなってしまった。

俺が、突然高圧的な態度に出たせいか。

ホテルマンは少し驚いて、それから、あろうことか…。

「…魔導師のお客様だけでしたら、全然問題ないんですけどね」

謝るどころか、向こうも逆ギレしたらしく。

横柄な態度で、忌々しそうにベリクリーデを睨んだ。

「当ホテルは、例え魔導師のお連れ様だろうと、『青カード』は泊めないことになってるんです」

「…『青カード』…?」

「その汚い色のカードのことですよ」

顎をシャクって、ベリクリーデの証明書を指した。

「…?青色、汚いの?綺麗な色だよ?」

その通りだ、ベリクリーデ。俺もそう思うぞ。

爽やかな良い色じゃないか。

それなのに…。

「この近辺に、『青カード』なんか泊めるホテルはありませんよ。うろうろされるだけで迷惑なんですよね」

「何だと…?」

「『青カード』が出入りしてる姿を見られるだけで、風評被害なんです。とにかく、魔導師以外のお客様を泊めるつもりはありませんから」

さっさと出ていけ、とばかりに。

若いホテルマンは、再度顎をシャクってベリクリーデを睨んだ。

「…」

あからさまな敵意を向けられたベリクリーデは、しばし呆気に取られていたが。

自分が歓迎されていないことは、鈍いベリクリーデでも分かったのだろう。

「…ん」

と頷いて、ホテルから出ていった。

俺は、慌ててそれを追い掛けた。

「…ベリクリーデ…!大丈夫か?」

「うん、平気…」

…平気、な訳ないじゃん。あそこまで酷い侮辱を受けて。

…だけど、これではっきりした。

やっぱり、満室だから断られてた訳じゃないのだ。

問題は、ベリクリーデの証明書にあった。

…なんてことをしてしまったのだ。

ベリクリーデだって、本当は魔導師なのに。

俺が浅知恵を巡らせたばかりに、ベリクリーデが…。