神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

危険な思いをした訳じゃなかったと聞いて、少し安心したが。

…でも…。

「それなら…何で、こんなに遅くなったんだ?何があった?…それに、キルディリア魔王国の新しい学校って、どんなだったんだ?」

俺は、シルナのいない二週間の間に聞きたかったことを、すべて。

畳み掛けるようにして、シルナを問い詰めた。

「お、落ち着いて羽久。一個ずつ話すから」

「お…。おぉ、ごめん…」

つい。食い気味になってしまった。

…駄目だな。俺も、少し冷静にならないと。

ふぅ、と一つ息を吐いてから。

「…聞かせてくれるか?シルナ。キルディリアで何があったのか」

「うん…。…実は…その、キルディリア魔王国が新しく作った学校っていうのが…」

その学校を見る為に行ったんだよな?

「どうだった?」

「…イーニシュフェルト魔導学院と、同じだったんだ」

「…えっ」

俺は、思わずぽかんとしてしまった。

…それは予想外だった。

「同じって…。どういう意味だよ?」

「校舎の大きさも、外装も、教室の数や、予定されているカリキュラムに至るまで…イーニシュフェルト魔導学院と、まったく同じだったんだよ」

「…!」

あの時の衝撃は、未だに忘れられない。



…そして、今。

長い時を経て、同じ話を聞かされた現在の仲間達も、また。

当時の俺と同じように、強い衝撃を受けているようだった。