神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「どうぞ。こちらでお待ち下さい」

「あ、どうも…」

職員に案内されて、俺が連れてこられたのは。

待ち合い室と言うより、立派な客室みたいな部屋だった。

すげぇ。立派なテーブルとソファがあるし、エアコンも効いてて快適。

しかも。

「お飲み物はいかがですか?」

マジ?飲み物のサービスまであるの?

そうだな…。じゃあ、お言葉に甘えて…。

「じゃあ…紅茶、もらっても良いか」

「かしこまりました。お好みの茶葉はございますか?」

茶葉まで選べんの?

良いよ。安いブレンドのティーバッグで。

「そうだな…。じゃあ、アールグレイで…」

「かしこまりました。すぐにお持ちします」

にっこり。

しばらくすると、同じ職員が空のティーカップと、紅茶のティーポットを持ってきた。

面食らっている俺の前で、ティーポットから丁寧に紅茶を注いでくれた。

…マジ?そんな目の前で淹れてくれんの?

しかも。この高級感溢れる、芳醇な香り。

俺もこれまで、色々なところで色々な紅茶を飲んできたけど。

これ、相当良い茶葉だぞ。

めっちゃ美味しい。

これ、本当に無料サービスなんだよな…?

「よろしければ、こちらもどうぞ」

なんて言って、洒落た小皿に盛ったクッキーまでくれた。

…マジで?

「えっと…。…これ、有料サービスとかですか?」

「まさか。すべて無料で提供させていただいております」

「…」

本当かよ。

至れり尽くせりで、何だか逆に居心地が悪い。

…ベリクリーデ、大丈夫かな。

ずずず、と紅茶を啜りながら。

俺は、別室で待っているであろうベリクリーデのことを考えていた。

…すると。

「…うん?」

待ち合い室に、俺以外の客がいることに、その時やっと気づいた。

あ…。先客、いたんだ…。

俺の反対側に座ってたから、気づかなかった。

その先客は、女性だった。

俺やベリクリーデと同じく、旅行者なのだろうか?

彼女は深々とソファに腰掛け、足を組み。

片手で文庫本を開きながら、もう片方の手で優雅にワイングラスを傾けていた。

ここ、アルコールドリンクまでサービスしてくれるのか。

ってか、普通にこの待ち合い室、女性も普通に入れんじゃん。

じゃあ、何でベリクリーデは別室に連れて行かれたんだ…?