神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「あー…。えっと、すみません。実はこいつは、魔導師じゃなくて…」

愚かな俺は、後先考えずにそう言ってしまった。

「魔導師じゃないんですね?」

「あ、あぁ…」

ベリクリーデは特に否定することもなく、こてん、と首を傾げていた。

ベリクリーデには、証明書がああだのこうだのいう話は、全く理解出来ていないに違いない。

「分かりました。では、あなたは魔導師で、お連れ様は魔導師ではない、と」

「あ…あぁ」

「では、お二人共それぞれに証明書を発行させていただきます。少し時間がかかりますので、待ち合い室でお待ち下さい」

え、そんな時間かかるものなのか?

しかも。

「ジュリス・レティーナさん。あなたはこちらに」

「え?」

「で…あなたはこちらで、それぞれお待ちいただきます」

驚いたことに、俺達はそれぞれ、別々の部屋で待つように言われた。

何で?証明書の種類が違うから?

…あ、男女別、ってことか?

俺はそう誤解した。

文化や宗教によっては、学校、飲食店などの公共の場所では、男女が別々の部屋で、別々の席に着くことが義務付けられている。らしい。

ルーデュニア聖王国じゃ、男女が隣同士に座っていても、何の問題もないけどな。

キルディリア魔王国では、そうじゃないんだろう。…多分。

「…仕方ない。郷に行っては郷に従え、だ。ベリクリーデ、俺は向こうの部屋に行くから…」

「…!ジュリス、あっち行っちゃうの?」

「お、おぉ…」

…そんな泣きそうな顔で見ないでくれないか。

罪悪感が募る。

「大丈夫だよ。きっと、すぐに作ってくれるだろうし」

「…」

「向こうで、少し待っててくれ。終わったらすぐ合流しよう。な?」

「…ん」

不満そうではあったが、一応頷いてくれた。

…良かった。

証明書の発行なんて、きっとすぐに出来るだろう。

だから、そう長くベリクリーデを一人ぼっちにすることはないはずだと、俺はそう思っていたのだが…。