言っておくが、俺も勿論、ベリクリーデだって、れっきとした魔導師である。
疑ってかかるなら、ベリクリーデにも魔法を使ってもらって、証明してやろうじゃないか…。
…と、言いたいところだが。
「…いや、その…。…こいつは…」
…やめておいた方が良いと思うんだ。
ベリクリーデは確かに魔導師だ。だが、その魔法の使い方は、非常に特殊。
こいつの魔法は、大雑把にも程がある。
力加減というものが全く出来ないのだ。
ベリクリーデに「ちょっとだけ」とか、「軽く」という概念は通用しない。
こいつに魔法を使わせてみろ。「どっかーん」とか言って、建物ごと吹き飛ばすぞ。
外国の国境検問所を消し飛ばすなんて…。…考えるだけで恐ろしい。
ベリクリーデに魔法を使わせるなんてとんでもない。
しかし。
「うん、分かったー。じゃあどっかーんと、」
「ちょ、待てベリクリーデ!」
「ほぇ?」
ほら見ろ。案の定やろうとしてる。
それに今は、だいぶマシになったとはいえ、ベリクリーデは体調が悪い。
ただでさえ出来ない力加減が、余計に出来なくなっているはず。
「…何ですか。出来ないんですか?」
なかなか魔法を見せようとしないベリクリーデに、女性審査官は疑わしげな表情を向けた。
…どうしよう。
「あの…ちなみに、魔法を見せられなかったら…どうなるんだ?」
俺は、恐る恐る尋ねてみた。
「魔導師であることが証明されませんので、魔導師証明書に、『非魔導師』と記入することになります」
「…ふーん…」
それだけか。
それだけなら、別に良いかもしれない、と思った。
少なくとも、この国境検問所を吹っ飛ばすより遥かにマシだろう。
それに、俺には他の思惑もあった。
…ベリクリーデは、非常に特殊な魔導師だ。力加減が出来ないことを別にしても。
彼女の中には、神…あの聖神ルデスが宿っている。
ルーデュニア聖王国では、既に公然の事実だから…普段は忘れているが。
このキルディリアという魔導師大国で、ベリクリーデの特殊な正体を、万が一知られてしまったら。
…人探しどころじゃなくなる。
それどころか、ベリクリーデの身の安全さえ保証出来ない状況になりかねないのだ。
だったらいっそ、非魔導師だということで押し通した方が、むしろ安全なのではないだろうか。
どうせ、不器用で、しかも体調不良のベリクリーデには。
この場で魔法を使って、魔導師であることを証明するのは難しいんだし。
これ以上ここで押し問答をするより、いっそ非魔導師ってことで、さっさと入国させてもらった方が良い気がする。
で、さっさとホテルに入って休もう。
俺はこの時、何も分かっていなかったのだ。
証明書に「非魔導師」と書かれるだけで、他には何も影響がないと思い込んでいた。
それが大きな間違いだと知っていたら、何としても、この場で必死にゴネまくったに違いない。
この国で、証明書に非魔導師と記入されることが、どのような影響を及ぼすのか。
俺は、正しく知っておくべきだったのに。
疑ってかかるなら、ベリクリーデにも魔法を使ってもらって、証明してやろうじゃないか…。
…と、言いたいところだが。
「…いや、その…。…こいつは…」
…やめておいた方が良いと思うんだ。
ベリクリーデは確かに魔導師だ。だが、その魔法の使い方は、非常に特殊。
こいつの魔法は、大雑把にも程がある。
力加減というものが全く出来ないのだ。
ベリクリーデに「ちょっとだけ」とか、「軽く」という概念は通用しない。
こいつに魔法を使わせてみろ。「どっかーん」とか言って、建物ごと吹き飛ばすぞ。
外国の国境検問所を消し飛ばすなんて…。…考えるだけで恐ろしい。
ベリクリーデに魔法を使わせるなんてとんでもない。
しかし。
「うん、分かったー。じゃあどっかーんと、」
「ちょ、待てベリクリーデ!」
「ほぇ?」
ほら見ろ。案の定やろうとしてる。
それに今は、だいぶマシになったとはいえ、ベリクリーデは体調が悪い。
ただでさえ出来ない力加減が、余計に出来なくなっているはず。
「…何ですか。出来ないんですか?」
なかなか魔法を見せようとしないベリクリーデに、女性審査官は疑わしげな表情を向けた。
…どうしよう。
「あの…ちなみに、魔法を見せられなかったら…どうなるんだ?」
俺は、恐る恐る尋ねてみた。
「魔導師であることが証明されませんので、魔導師証明書に、『非魔導師』と記入することになります」
「…ふーん…」
それだけか。
それだけなら、別に良いかもしれない、と思った。
少なくとも、この国境検問所を吹っ飛ばすより遥かにマシだろう。
それに、俺には他の思惑もあった。
…ベリクリーデは、非常に特殊な魔導師だ。力加減が出来ないことを別にしても。
彼女の中には、神…あの聖神ルデスが宿っている。
ルーデュニア聖王国では、既に公然の事実だから…普段は忘れているが。
このキルディリアという魔導師大国で、ベリクリーデの特殊な正体を、万が一知られてしまったら。
…人探しどころじゃなくなる。
それどころか、ベリクリーデの身の安全さえ保証出来ない状況になりかねないのだ。
だったらいっそ、非魔導師だということで押し通した方が、むしろ安全なのではないだろうか。
どうせ、不器用で、しかも体調不良のベリクリーデには。
この場で魔法を使って、魔導師であることを証明するのは難しいんだし。
これ以上ここで押し問答をするより、いっそ非魔導師ってことで、さっさと入国させてもらった方が良い気がする。
で、さっさとホテルに入って休もう。
俺はこの時、何も分かっていなかったのだ。
証明書に「非魔導師」と書かれるだけで、他には何も影響がないと思い込んでいた。
それが大きな間違いだと知っていたら、何としても、この場で必死にゴネまくったに違いない。
この国で、証明書に非魔導師と記入されることが、どのような影響を及ぼすのか。
俺は、正しく知っておくべきだったのに。


