それじゃあ行って来るね〜、と手を振り、ご機嫌で出掛けていった当時のシルナ。
当初は、旅行は一週間の予定だった。
しかしシルナは、一週間が過ぎても帰ってこなかった。
とはいえ、ミナミノ共和国に閉じ込められたフユリ様と違って、一応連絡は取れていた。
旅行が長引く旨をシルナの口から聞かされて、連絡が取れたことを喜ぶ反面。
旅行が長引くことに、不安を感じていたのだが…。
結局シルナは、帰国予定日から更に一週間経って。
出発してから、実に二週間の月日を経て。
ようやく、ルーデュニア聖王国に帰国した。
帰ってきたシルナは、ぐったりと疲れ果てていた。
…出掛ける前は、あんなに楽しそうだったのに。
帰ってきた時のシルナは、酷く疲れて、ぐったりしているようだった。
俺は、そのことに衝撃を受けた。
「シルナ…。…大丈夫か?」
思わず、俺はそう尋ねていた。
「あぁ…うん。…とりあえず、チョコを食べよう…」
疲労を回復するにはこれが一番、とばかりに。
帰ってきたシルナがまず最初にしたことは、チョコレートを齧ることだった。
この辺は、今も昔も変わってないな。シルナのまんまだ。
…って、呑気にチョコ食ってる場合じゃないだろ。
「一体どうしたんだ?何でこんなに遅くなって…」
「ごめんね…。…学院の方、大丈夫だった?」
「…問題ねぇよ」
シルナの留守くらい、一人で預かれなくてどうする。
シュニィを始め、何人かの生徒には、「学院長先生はまだ帰ってこないんですか?」と心配そうに聞かれたが。
俺は自分の不安を隠しながら、「すぐ帰ってくるから。大丈夫だよ」と笑顔で答えるよう努めていた。
我ながら強がっていたものだ。
本当は、自分が一番心配していた癖に。
「もむもむ…。チョコうま〜」
「チョコは良いから…。シルナ。キルディリアで何があったか早く…」
「あっ、そうだ。お土産にキルディリア産のチョコクッキーを買って、」
「…」
「ちょ、無言で拳を振り上げるのやめて!」
いや、ごめんな。
あまりの呑気っぷりに、なんか腹が立ってきて。
一発ぶん殴ったら、重要な話を始めてくれるかと思ってな。
「話す。ちゃんと話すから」
「じゃあさっさと言えよ。…キルディリア魔王国で、何があったんだ?」
「…それは…。…そうだな…」
「まさか、危険な目に遭ったんじゃないだろうな?」
俺が一番心配していたのは、それだった。
俺が傍にいない間に、シルナの身に危機があったんじゃないかって…。
もしそんなことになったら、俺は自分で自分が許せなかっただろう。
…しかし。
「いや…。危険ではなかったよ」
「…本当に?」
「うん、本当に。危険な思いはしていない。一度も」
シルナははっきりとそう答えた。
…嘘をついている訳ではなさそうだな。
…良かった…。
それを聞けただけでも、ひとまず安心だ。
当初は、旅行は一週間の予定だった。
しかしシルナは、一週間が過ぎても帰ってこなかった。
とはいえ、ミナミノ共和国に閉じ込められたフユリ様と違って、一応連絡は取れていた。
旅行が長引く旨をシルナの口から聞かされて、連絡が取れたことを喜ぶ反面。
旅行が長引くことに、不安を感じていたのだが…。
結局シルナは、帰国予定日から更に一週間経って。
出発してから、実に二週間の月日を経て。
ようやく、ルーデュニア聖王国に帰国した。
帰ってきたシルナは、ぐったりと疲れ果てていた。
…出掛ける前は、あんなに楽しそうだったのに。
帰ってきた時のシルナは、酷く疲れて、ぐったりしているようだった。
俺は、そのことに衝撃を受けた。
「シルナ…。…大丈夫か?」
思わず、俺はそう尋ねていた。
「あぁ…うん。…とりあえず、チョコを食べよう…」
疲労を回復するにはこれが一番、とばかりに。
帰ってきたシルナがまず最初にしたことは、チョコレートを齧ることだった。
この辺は、今も昔も変わってないな。シルナのまんまだ。
…って、呑気にチョコ食ってる場合じゃないだろ。
「一体どうしたんだ?何でこんなに遅くなって…」
「ごめんね…。…学院の方、大丈夫だった?」
「…問題ねぇよ」
シルナの留守くらい、一人で預かれなくてどうする。
シュニィを始め、何人かの生徒には、「学院長先生はまだ帰ってこないんですか?」と心配そうに聞かれたが。
俺は自分の不安を隠しながら、「すぐ帰ってくるから。大丈夫だよ」と笑顔で答えるよう努めていた。
我ながら強がっていたものだ。
本当は、自分が一番心配していた癖に。
「もむもむ…。チョコうま〜」
「チョコは良いから…。シルナ。キルディリアで何があったか早く…」
「あっ、そうだ。お土産にキルディリア産のチョコクッキーを買って、」
「…」
「ちょ、無言で拳を振り上げるのやめて!」
いや、ごめんな。
あまりの呑気っぷりに、なんか腹が立ってきて。
一発ぶん殴ったら、重要な話を始めてくれるかと思ってな。
「話す。ちゃんと話すから」
「じゃあさっさと言えよ。…キルディリア魔王国で、何があったんだ?」
「…それは…。…そうだな…」
「まさか、危険な目に遭ったんじゃないだろうな?」
俺が一番心配していたのは、それだった。
俺が傍にいない間に、シルナの身に危機があったんじゃないかって…。
もしそんなことになったら、俺は自分で自分が許せなかっただろう。
…しかし。
「いや…。危険ではなかったよ」
「…本当に?」
「うん、本当に。危険な思いはしていない。一度も」
シルナははっきりとそう答えた。
…嘘をついている訳ではなさそうだな。
…良かった…。
それを聞けただけでも、ひとまず安心だ。


