大変だったのは、船旅の道中である。
「あ〜…。…酔う…」
折角、定期船にしてはそこそこ綺麗な客室を充てがわれて、良かったと思っていたのに。
船旅が始まってしばらくすると、とんでもなく揺れる揺れる。
ルーデュニア聖王国近海は、これ以上なく穏やかな海だったのだが。
少しずつキルディリア魔王国の航路に近づいてくると、突然、海の状態が悪化し始めた。
波は高いわ風も強いわ、とても船旅には不向きな天候。
さすがの俺も、ちょっと不安になってきたが。
それでも、他の乗船客や、船内の職員達の話を聞くところによると。
キルディリア魔王国近海では、いつもこんな天気らしい。
成程。それで、この揺れなのに誰も危機感を抱いてないんだな…。
あー、気持ち悪い。
俺は船室のベッドで横になって、ひたすら船酔いに耐えていた。
その間、ベリクリーデはと言うと。
「うーみーはーひろいーなー♪おおきいーなー♪」
船室のちっちゃい窓から、高い波を眺めながら。
「つーきーがーしずむーし〜♪ひがのーぼーるー♪」
「…ベリクリーデ…。…それは逆だ…」
「ほぇ?」
…もう駄目だ。ツッコむ気力も起きない。
俺は、ぐったりと枕に頭を預けた。
「…ジュリス、大丈夫?」
ベリクリーデが、心配そうにベッドに寄ってきた。
「…具合悪いの?…子守唄、歌ってあげようか?」
「いや…。…いいよ…」
「ジュリスーはーよいこーだー♪ねんねーしーなー♪」
「…いいって…」
気持ちだけ、な。気持ちだけ受け取っておくよ。
別に歌が下手な訳じゃないけど、お前の間の抜けた歌声を聴いていると、気が抜ける。
…それより。
「…ベリクリーデ、お前は船酔い、大丈夫なのか?」
「ふぇ?」
「気分悪くないのか。この揺れなのに…」
「…??酔っ払ってないよ?」
あ、そう…。
羨ましいことに、ベリクリーデは船酔いしてないらしい。
馬鹿は風邪引かないって言うが、あれは船酔いにも適応されるらしいな。
「右にゆらゆら〜。左にゆらゆら〜」
むしろ、この揺れを楽しんでいるかのよう。
「ふわふわするねー」
「…そうだな…」
畜生…。羨ましい。
…俺はこの時、自分の船酔いに耐えるのが必死で。
ベリクリーデの「不調」に、まったく気づかなかったのである。
「あ〜…。…酔う…」
折角、定期船にしてはそこそこ綺麗な客室を充てがわれて、良かったと思っていたのに。
船旅が始まってしばらくすると、とんでもなく揺れる揺れる。
ルーデュニア聖王国近海は、これ以上なく穏やかな海だったのだが。
少しずつキルディリア魔王国の航路に近づいてくると、突然、海の状態が悪化し始めた。
波は高いわ風も強いわ、とても船旅には不向きな天候。
さすがの俺も、ちょっと不安になってきたが。
それでも、他の乗船客や、船内の職員達の話を聞くところによると。
キルディリア魔王国近海では、いつもこんな天気らしい。
成程。それで、この揺れなのに誰も危機感を抱いてないんだな…。
あー、気持ち悪い。
俺は船室のベッドで横になって、ひたすら船酔いに耐えていた。
その間、ベリクリーデはと言うと。
「うーみーはーひろいーなー♪おおきいーなー♪」
船室のちっちゃい窓から、高い波を眺めながら。
「つーきーがーしずむーし〜♪ひがのーぼーるー♪」
「…ベリクリーデ…。…それは逆だ…」
「ほぇ?」
…もう駄目だ。ツッコむ気力も起きない。
俺は、ぐったりと枕に頭を預けた。
「…ジュリス、大丈夫?」
ベリクリーデが、心配そうにベッドに寄ってきた。
「…具合悪いの?…子守唄、歌ってあげようか?」
「いや…。…いいよ…」
「ジュリスーはーよいこーだー♪ねんねーしーなー♪」
「…いいって…」
気持ちだけ、な。気持ちだけ受け取っておくよ。
別に歌が下手な訳じゃないけど、お前の間の抜けた歌声を聴いていると、気が抜ける。
…それより。
「…ベリクリーデ、お前は船酔い、大丈夫なのか?」
「ふぇ?」
「気分悪くないのか。この揺れなのに…」
「…??酔っ払ってないよ?」
あ、そう…。
羨ましいことに、ベリクリーデは船酔いしてないらしい。
馬鹿は風邪引かないって言うが、あれは船酔いにも適応されるらしいな。
「右にゆらゆら〜。左にゆらゆら〜」
むしろ、この揺れを楽しんでいるかのよう。
「ふわふわするねー」
「…そうだな…」
畜生…。羨ましい。
…俺はこの時、自分の船酔いに耐えるのが必死で。
ベリクリーデの「不調」に、まったく気づかなかったのである。


