神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

…有り難いことに。

「ベリクリーデが行かなきゃいけないって言ってるんだ」と言うと。

シュニィは、それ以上しつこく、理由を聞いてこようとはしなかった。

ベリクリーデの直感が頼りになること、シュニィも分かってるんだろう。

「後のことは任せてください」と請け負ってくれた。

本当に、有り難い。

俺は良い上司に恵まれたよ。

そこで、俺とベリクリーデはすぐに、国を発つ準備を済ませ…。

いざ出かけようとしたところで、いつもの二人に声をかけられた。

「おーい、ジュリス、ベリクリーデちゃん」

「あ、キュレム…。ルイーシュ…」

「二人がハネムーンに出掛けると聞いて、見送りに来ましたよ」

…誰がハネムーンだよ。

「…??ジュリス、はねむーん、って何?お月さま?」

「…違うよ」

お前は知らなくて良いことだ。

「茶化してんじゃねぇぞ」 

「で、実際何しに行くんだ?絶賛戦争してる国に」

あぁ…。普通に考えたら、狂気の沙汰だよな。

だけど…。

「ちょっと、クロティルダを探しにな」

「クロティルダ…。ジュリスさんの恋敵の天使ですか」

「誰が恋敵だ」

「いるんですか?キルディリア魔王国に」

「…ベリクリーデがそう言ってるから、多分、そうなんだと思う」

そこで何してるのかは知らないがな。

とにかく、まずは会って話をしなければ。

「成程…。まぁ、お二人なら大丈夫だとは思いますけど」

「気ぃつけろよ。で、ちゃんと帰ってこい。…天使も連れてな」

「あぁ…そのつもりだよ」

お前達に言われなくても。

今の俺の居場所は、ここ、ルーデュニア聖王国の聖魔騎士団だからな。

絶対に帰ってくるよ。…クロティルダも連れて。

「あいつには、カレーうどんの汁をつけられたシャツのクリーニング代を払ってもらわなきゃいけないからな。俺としても帰ってきてもらわないと困る」

と、キュレムは真顔で言った。

…何の話?

「あれは、半分くらいはキュレムさんの責任なのでは?」

「ふざけんな。勝手にカレーうどん注文したのはお前だろ。お前と天使で半々だ。折半しろ」

…なんか揉めてるみたいだけど、俺は行くぞ。

じゃあな。









…その後、俺とベリクリーデはキルディリア魔王国行きの客船に乗り込んだ。

奇しくもそのルートは、イーニシュフェルト魔導学院のシルナ・エインリーと羽久・グラスフィアが辿ったのと、同じルートだったのである。

ということを、この時の俺はまだ知らなかった…。