神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

ベリクリーデはびっくりして、じっと俺のことを見つめていた。

「…ジュリス、一緒に来てくれるの?」

「あぁ」

「…でも、さっき駄目だって」

まぁ、さっきはそう言ったけど。

クロティルダを探すっていう…そういう使命があるんなら、話が別だ。

「何だよ。俺が来ると邪魔か?」

ベリクリーデは、頭が取れそうなくらいぶんぶんと、首を横に振った。

そりゃ良かった。

「ジュリスが来てくれると、嬉しい」

「そうか」

「でも…。…良いの?」

「良いよ」

確かに、今キルディリア魔王国に行くのは危険だ。それは百も承知だ。

でも、だからこそ、だ。

危険だからこそ、俺が一緒についていくのだ。

「お前を一人、危険な目には遭わせないよ。俺も一緒に行く」

「…ジュリス…」

「そしたら、少しは安全だろ」

…大体、こいつを一人で海外なんか行かせたら。

何処で何してるか心配で、俺は気が気じゃないだろうよ。

だったら、最初から危険を共にした方がマシだ。

「…ジュリス、ありがとう!」

「うわっ」

感極まったベリクリーデが、ぎゅっ、と俺に抱きついてきた。

ちょ、馬鹿。埃っぽいぞお前。

「ジュリスが一緒だったら、とっても心強いよ」

「そ、そうか…」

「ありがと〜…」

「…大袈裟なヤツ…」

頭をぐりぐり押し付けてくるベリクリーデ。

その頭のてっぺんにくっついていた埃の塊を、俺は指で取ってやった。

せめて、埃を落としてから抱きつけっての。

俺まで埃まみれじゃん。

まぁ、でも、ようやくベッドの下から出てきてくれたから、良いけど…。

…すると。その時。

ベリクリーデが俺にくっついて抱きついていた、最悪のタイミングで。

「ジュリスさん、失礼します。来週の会議の、あっ…」

「あっ!?し…シュニィ!?」

何でこう、これ以上にないってくらいパッドタイミングで。

俺は、慌ててベリクリーデを離そうとしたが。

シュニィは、何を勘違いしたのか。

「あっ、すっ…。お取り込み中のところ、申し訳ありませんでした…!」

顔を真っ赤にして、慌てて出ていこうとした。

ちょ、違う。それは誤解なんだって。

「待ってくれシュニィ。誤解だ!」

シュニィに叫んだが、今度はベリクリーデがびっくりして。

「えっ、誤解?誤解なの?ジュリス、一緒にいってくれるっていっ、」

「ちがっ…!頼むから、これ以上誤解を招くことは言わないでくれ!」

「来てくれるって〜!」

「分かったから!」

さすがの俺も、これにはちょっと涙目だった。