ちょ…今、今なんて?
俺の聞き間違いだったら良かっ、
「ジュリス。私、キルディリア魔王国に行く」
…やっぱり聞き間違いじゃなかった。
「おま…!何言ってるんだ」
色んな意味で。
「お前…キルディリアがどういう国か知ってるのか?何処にあるのか知ってるのか」
「…。…知らない」
ほら、見たことか。
…とはいえ、かく言う俺も、行ったことはないんだが。
でも、知識としてはある程度知っている。
それに…。
「旅行なんて無理だぞ。今、あの国は戦争中なんだから」
「…戦争?何の?」
「だから…アーリヤット皇国と戦ってるんだよ。ほら」
俺は、さっきまで読んでいた報告書を、ベリクリーデに手渡した。
しかし。
「…??字がちっちゃくて読めない」
あぁ、もう。
「それに、紙がしわくちゃ…」
「…それは俺が悪かったけど…」
「なんて書いてあるの?」
「だから、アーリヤット皇国と戦争中だって。今のところ、一進一退の攻防を繰り広げてるそうだ」
果たしてこの先、戦況がどうなるか。
アーリヤット皇国が水際でキルディリア魔王国を食い止めるのか。
それとも、開戦の勢いそのままに、キルディリア魔王国がアーリヤット皇国を押し切るのか…。
その行く先は、誰にも分からない。
いくら「有利な戦争」と思い込んでいても。
蓋を開けてみれば、激しい抵抗に遭って泥沼の戦争が続く…なんてことは、歴史の中で何度も繰り返されてきた。
ましてや、アーリヤット皇国は大国だ。
かの国の情勢如何では、ルーデュニア聖王国も、対岸の火事ではいられない。
いつ、こちらに飛び火してくるか分からない状態なのだ。
それなのに…絶賛戦時下のキルディリア魔王国に、自ら足を踏み入れようとは。
飛んで火に入る夏の虫、じゃないか。
「とにかく、今キルディリア魔王国に行くのは駄目だ。危険過ぎる」
「…」
「戦争が終わったら。情勢が落ち着いて、平和になったら。その時行けば良いだろ?」
何しに行くのか知らないけど。
今動くのは危険過ぎるし、それにあの国は、超魔導師国家だと聞いている。
迂闊にベリクリーデが足を踏み入れて、万が一のことがあったら…。
…それなのに。
「…ううん。今行く」
「…え…?」
「今行くの。絶対」
「…」
びっくりした。
ベリクリーデは確かに、いつも突拍子のないことばかり言うけど。
基本的には素直で、人の言うことは何でも聞く。
むしろ、人の言うことを何でも真に受け過ぎて困っているくらいだ。
俺が言い聞かせると、大抵のことは「うん、分かったー」とか言って納得する。
でも、ベリクリーデは今、きっぱりと俺の言いつけを断った。
それはまるで、ベリクリーデじゃない、他の誰かに見えた。
俺の聞き間違いだったら良かっ、
「ジュリス。私、キルディリア魔王国に行く」
…やっぱり聞き間違いじゃなかった。
「おま…!何言ってるんだ」
色んな意味で。
「お前…キルディリアがどういう国か知ってるのか?何処にあるのか知ってるのか」
「…。…知らない」
ほら、見たことか。
…とはいえ、かく言う俺も、行ったことはないんだが。
でも、知識としてはある程度知っている。
それに…。
「旅行なんて無理だぞ。今、あの国は戦争中なんだから」
「…戦争?何の?」
「だから…アーリヤット皇国と戦ってるんだよ。ほら」
俺は、さっきまで読んでいた報告書を、ベリクリーデに手渡した。
しかし。
「…??字がちっちゃくて読めない」
あぁ、もう。
「それに、紙がしわくちゃ…」
「…それは俺が悪かったけど…」
「なんて書いてあるの?」
「だから、アーリヤット皇国と戦争中だって。今のところ、一進一退の攻防を繰り広げてるそうだ」
果たしてこの先、戦況がどうなるか。
アーリヤット皇国が水際でキルディリア魔王国を食い止めるのか。
それとも、開戦の勢いそのままに、キルディリア魔王国がアーリヤット皇国を押し切るのか…。
その行く先は、誰にも分からない。
いくら「有利な戦争」と思い込んでいても。
蓋を開けてみれば、激しい抵抗に遭って泥沼の戦争が続く…なんてことは、歴史の中で何度も繰り返されてきた。
ましてや、アーリヤット皇国は大国だ。
かの国の情勢如何では、ルーデュニア聖王国も、対岸の火事ではいられない。
いつ、こちらに飛び火してくるか分からない状態なのだ。
それなのに…絶賛戦時下のキルディリア魔王国に、自ら足を踏み入れようとは。
飛んで火に入る夏の虫、じゃないか。
「とにかく、今キルディリア魔王国に行くのは駄目だ。危険過ぎる」
「…」
「戦争が終わったら。情勢が落ち着いて、平和になったら。その時行けば良いだろ?」
何しに行くのか知らないけど。
今動くのは危険過ぎるし、それにあの国は、超魔導師国家だと聞いている。
迂闊にベリクリーデが足を踏み入れて、万が一のことがあったら…。
…それなのに。
「…ううん。今行く」
「…え…?」
「今行くの。絶対」
「…」
びっくりした。
ベリクリーデは確かに、いつも突拍子のないことばかり言うけど。
基本的には素直で、人の言うことは何でも聞く。
むしろ、人の言うことを何でも真に受け過ぎて困っているくらいだ。
俺が言い聞かせると、大抵のことは「うん、分かったー」とか言って納得する。
でも、ベリクリーデは今、きっぱりと俺の言いつけを断った。
それはまるで、ベリクリーデじゃない、他の誰かに見えた。


