神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「…ほぇ?えろほん?」

あ、またベリクリーデが、ひょこっと顔を出した。

「そうだよ。大丈夫だ。いくら熟女モノのエロ本をベッドの下に隠してたって、ジュリスの本命はいつだってベリクリーデちゃんだから」

「…??じゅくじょ?えろほん?」

「熟女って言うのはな、ベリクリーデちゃん。成熟した、女盛りの女性のことで…」

「おいキュレム。ベリクリーデに変なこと教えんな!」

そいつは無駄に素直なんだぞ。真に受けちゃったらどうするんだ。

「それと、俺の好みを勝手に決めてんじゃねぇよ」

そんな趣味ねーよ。ふざけんな。

「え?俺はてっきり、ジュリスがベッドの下に隠してるエロ本を、ベリクリーデちゃんが見つけて落ち込んでるのかと…」

「そんな訳ねーだろ」

適当言ってんじゃねーぞ、マジで。 

何がどうなったら、そういう発想になるんだよ。

「そうですよ、キュレムさん」

ほら。キュレムがあんまりふざけたことを言うから、ルイーシュもこう言って、

「ジュリスさんの本命はベリクリーデさんなんだから、どっちかと言うと熟女より、ロリでは?」

「あ、成程ねー」

「ぶはっ…」

…ルイーシュまで。何言ってんだよ。

キュレムも納得するな。

「…??ジュリス、ろり、ってなーに?」

「…お前は知らなくて良いことだよ」

ベリクリーデの貧弱な脳内辞書に、不必要な言葉を増やすんじゃねぇ。

マジでもう。追い出すぞ、キュレムもルイーシュも。

「…で、ベリクリーデちゃんは何で、そこで亀みたいになってんの?」

「…それは…」

「例の天使さんのことですか」

と、ルイーシュが早速図星をつくと。

「…」

やっと顔を出していたはずのベリクリーデが、またしても、スーッとベッドの下に潜り込んでいった。

「あ、やっぱりそのせいなんですね」

「…あぁ…」

ここ最近、ベリクリーデはずっと元気がない。

その原因は、あの忌々しい天使が原因だ。

…あのクソ天使、クロティルダ。

あいつ、一体何をやってるんだ。

ベリクリーデがいくら呼んでも、クロティルダは姿を現さない。

少し前まで、ストーカーかよ、ってくらいベリクリーデに付き纏ってた癖に。

突然、パタリと音信不通になったものだから、ベリクリーデはすっかり落ち込んでしまった。

…基本的に寂しがりだからなぁ、ベリクリーデは。

俺だって、ベリクリーデに元気出してもらおうと、色々頑張ったんだぞ。

バナナジュース作ってあげたり、どんぐりでコマ作ってあげたり。

でも、駄目だった。

未だにクロティルダは戻ってこないし、お陰でベリクリーデもしょんぼりしている。

…いい加減にしろよ。あのクソ天使。