「あっ!」



 下校するための準備をしていたら、あることに気づいた。

 あ、あれがない……。

 ぜんしんから血の気が引いて、頭の中が真っ白に!



「どうした、雛?」



 不思議そうな顔をしながら、海くんが近づいてきた。



「わ、私、図書室に忘れ物しちゃったみたい!」

「なんでそんなに慌ててるんだ?」

「慌ててない!」



 早くあれを見つけないと、とんでもないことになる!



「私、鳥に行ってくる!海くんは先に帰って!」

「俺も一緒に行ってやるから」

「大丈夫!」



 そう言って、全力で図書室に向かって走った。

 私の忘れ物。それは……。

『ノート』

 ただのノートじゃないの。

 あれは、妄想ノートなんだから!

 恋愛とかの妄想を全部書き留めてあるんだよ。

 あんなの他の人に読まれでもしたら、いろんな意味で私の人生が終わってしまう!

 そんなの、冗談じゃない。

 私とアニメのキャラクターが結ばれて、水族館でデートしてるなんてページを読まれるなんてでもしたら……。

 ぎゃーーー!!!