そう思っていたら、突然『ボコッ』と頭を叩かれた。

 しかもかなり強めの力で!



「痛いっ!誰!?」

「遅い。マジで遅刻すんぞ」



 振り返ると、幼馴染の鋪野海斗(しきのかいと)が呆れながら私を見ていた。

 海くんは、黒髪で金髪のメッシュが特徴で、第一印象は不良なんだよね。

 切れ長の目で睨まれると、迫力満点!

 整った顔をしているから、もっと怖く見えちゃうけど、身長が私よりも低いから怖さが半減される。

 しかも、海くんはとっても優しいんだよ。

 実際、こうして私の事を待ってくれているからね。



「待っててくれてありがとう!」



 お礼を言うと、ため息を吐かれた。



「もうちょっとしたら置いて行こうと思ってた」



 それって、遅刻するギリギリまで待ってくれるってことだよね?

 嬉しくて、胸がジーンとしてきた。



「やっぱり、海くんって優しいね」

「うっせぇ!」



 怒鳴っているけど、これは照れ隠し。

 不器用だけど、私にはちゃんと伝わる。

 微笑んで言うと、海くんは腕時計をチラリと見た。

 ニヤリと不敵に笑っており、悪い事を考えている時の顔だった。