「あ、あの……。そのノートなんですけど」



 ノートを指差して、これまでの経緯を簡単に説明した。

 すると、なぜか吹き出して笑われてしまった。

 なんでよ、笑う要素なんてあったかな?

 首を傾げていると、目に涙を浮かべて、彼はノートを返してくれた。



「すみません。あまりにも面白くて……」



 とってもストレートに言いますね!

 私のガラスのハートが傷ついた!



「そのノートに書かれていた物語。面白かったですよ」

「はい?」

「特に、水族館デートなんかが。構成もしっかりしていたので、読みやすかったですね」



 その言葉に、血の気が失せて、指の先まで冷たくなった。

 明らかに、私が書いたノートの内容。

 ってことはよ?認めたくはないんだけど……。



「このノート、読んだんですか?」



 お願いします、嘘だと言ってくれ!

 だけど如月くんは、憎らしいほど爽やかな笑顔で、コクリと頷いた。



「そうですね」



 はい、終わりましたー。



「あ、あの!すごくいいお話だなと思っただけですよ!?決して、内容をバカにしたわけじゃないんです!」