モデルなんてできません

「え〜と、知沙さんは京介くんの元カノさんで、今はお友達という事でいいんでしょうか?」
私はお茶を出しながら恐る恐る聞いてみた

「そうよ。京介は私のボーイフレンドだったの。大学の時付き合ってたのよ。私がアメリカに行く時に別れたの。それからはずっとフレンド、友達よ」
知沙さんは何の躊躇もなく淡々と教えてくれた

「知沙は今アメリカで会社を起こしてるんだ。昨日久しぶりに帰国して、夏樹の事話したらどうしても会いたいって言うから家に呼んだんだ」
京介くんも何も感じてなさそうに淡々と言葉を発する

「なるほど、つまりお友達を家に呼んだと?」

「そうよ。京介とは今もフレンド。仲のいい友達よ。京介がガールフレンドと一緒に暮らしてるって言うから、一目見たくて押しかけちゃった」
‘sorry‘と言われたから、‘いえいえ‘と普通に答えてしまった
  
「知沙は今一時的に帰国してるんだ。普段アメリカぐらしだから、日本食が恋しいんだって。夏樹は料理が上手だって言ったら、ぜひ食べたいっていうから、何か作ってあげてくれない?」

作ってあげてくれない?って急に言われても私何も用意してないよ
相変わらず自分勝手な
言ってくれたら買い出しくらいしたのに  
ていうかアメリカ暮らしの知沙さんの口に合う料理なんて何作っていいか分かんないよ

‘京介くん、作るって何作っていいか分かんないよ‘
‘ちょっと‘と言って京介くんを呼んでひそひそ声で話す私達
‘何でもいいよ。夏樹の作る物は何でも美味しいから‘と京介くん
そういう問題じゃないよ〜とあたふたするのも束の間

結局私は知沙さんに日本食を振る舞うことになった