モデルなんてできません

「つまり僕が言いたい事は、夏樹なら子どもができる可能性があるって事だよ」
‘今彼氏がいるんでしょ?見た目も凄い綺麗になった‘
護さんは私の薬指にはめたリングを見て言った

‘うん、、今付き合ってる人がいるんだ‘
私はちょっと恥ずかしそうに答えた  

「夏樹が幸せそうでよかった」
護さんは心からそう言ってくれてるように聞こえた

‘ありがとう。でも今ちょっと悩んでるんだ‘
私はつい護さんに相談してしまった
‘どうしたの?‘
‘今付き合ってる彼氏に一緒に住もうって言われてるんだけど、彼年下で、まだ若いし、彼の将来の事とか考えるとどうしようか迷っちゃって、何か一緒に住むのに踏み出せないでいるんだよね‘
元旦那にこんな事を言うのはおかしいと思ったけど、自然と言葉が出てしまった

「相手のこととか考えちゃうのが夏樹らしいね。夏樹はいつも自分のことより人の事考えちゃうタイプだもんね。僕が言える事じゃないけど、夏樹はもっとわがままになってもいいと思うよ」
護さんは‘結婚してた時から思ってたけど‘と付け加えた

「人ってもっと感情を表に出していいと思うんだ。怒ってる時は怒っていいし、悲しい時は泣いていいし、、夏樹は感情を閉じ込めて表に出さないタイプでしょ?特に怒っていても感情的になったりしないで表に出さない。いつも穏やかで寛容でニコニコしてて、それは夏樹のいいところだけど、無理してんじゃないかなっていつも思ってた」

‘そうかな?それは護さんが優しくて、怒る事もそんなになかったからだよ。でも、、そういうところはあるかも?‘

「僕は夏樹の欲しいものは与えられなかったし、夏樹に無理させてただけで幸せにはしてあげられなかったから、今度は幸せになってほしいと思ってる」
護さんは相変わらず優しい笑顔でそう言った

‘ありがとう。護さんもお幸せに‘
そう最後に言って私達は別れた

‘沙耶が夏樹に謝ってたよ‘とも別れ際に護さんは言っていた

私は今まで心の中で思っていた黒い嫌な感情が晴れたよう晴々しい気分になった