モデルなんてできません

沢山おしゃべりをした私達
そろそろ帰る事になった
帰ろうとした時
「京介、あの人には会ってるの?」
和歌さんが少し心配そうに聞いてくる

あの人?
あの人って誰だろう?

「あの人には会ってないよ。連絡もとってない」
京介くんは少し寂しそうに答えた

和歌さんは‘そう。たまには連絡くらいとりなさいよ‘と諭すように言った 


「そろそろ帰るよ。今日は報告だから」
‘夏樹行こう‘と言って私達はサロンを出た

‘またいつでもきてね‘と言って和歌さんは笑顔で見送ってくれた
...........


サロンを出た私達
「京介くん、お姉さんと仲良いね」
‘うちの弟なんて私のこと馬鹿にしてるくらいだよ‘
私は自分と比較して言ってみた

私には四つ下に弟がいる
一年前に結婚して、つい最近子供が生まれたばかりだ
‘姉貴もいつまでもフラフラしてないで地に足つけて暮らしたら?‘
弟に言われる私は何とも情けない
どうせ私はバツイチバイト暮らしですよ
親にだって呆れられてほぼほぼ見放されてますよ

「うちは和歌さんが母親がわりみたいなもんだから。うちの母親は病気がちで、俺が小学校の時にはずっと病院にいて、一緒に暮らしてないくらい。だから、俺の事とか全部和歌さんがやってくれたの。母親は中学の時に亡くなったんだ」
‘そうなんだ、、何かごめん‘私は聞いてしまったことを後悔した

「大丈夫。だって俺には和歌さんも夏樹もいるから」
‘お父さんは?‘と聞きたかったけど何となく聞けなかった
‘あの人は多分お父さんのことだろうな?お父さんと何かあったのかな?‘

佐久屋家の複雑な家庭状況に触れて、どう言ってあげれば良いのか悩むのだった