モデルなんてできません

素敵な白のニットを着せてもらった私

着てみた姿に、‘お客様お似合いですよ‘と店員さん
‘いいじゃな〜い‘と和歌さんが喜んでくれた

「じゃっ、京介のところに戻りましょう」
と和歌さんが言ったので、私達はサロンに戻る事になった

「えっ、京介くん?」

‘そう。もう京介戻ってるわよ‘と和歌さんが言うので、私達はサロンに戻った

サロンに戻ると、京介くんが待っていた

‘夏樹ちゃん出てきて〜‘と声をかけられたので、私は恐る恐る京介くんの前に現れる
「じゃ〜ん、変身完了。可愛いでしょ〜」
‘私が腕を振るったのよ〜‘と和歌さんは自慢気だ

京介くんの表情が変わるのが分かる
目が輝いていた

「ど、どうでしょう?」
私は恥ずかしくて照れながら言ってみた

「予想以上だよ。夏樹凄い似合ってる。さすが和歌さん」
京介くんが喜んでいるのを感じた

良かった。変身した甲斐があった
私は嬉しくてたまらなくなった

そんな私に京介くんが‘夏樹に‘と言って、素敵なヒールの靴を差し出した

「えっ!私もらえないよ」と遠慮したけれど、‘いいから履いてみて‘と言われたので、私は京介くんから貰った靴に足を通す

「思った通りピッタリ。夏樹すごい似合ってるよ」
京介くんに靴を履かせてもらった私はまるでお姫様のようだなと思った

私がお姫様なんて柄じゃないが、ヘアスタイルもメイクも、服も、靴も全身コーディネートしてもらい、私はまるで自分じゃないみたいに、夢見心地な気持ちになった

「じゃあ、これから2人でデート楽しんできて」
和歌さんに背中を押されて私達はサロンを出た

サロンを出る前に京介くんに和歌さんがひそひそ話していたけど、何の話かは私には分からなかった

京介くんは‘夏樹行こう‘と言って私の手を握った