モデルなんてできません

実はもう前日に中本さんには伝えてあった

‘どうして辞めるの?ここで勤めながら小説の夢を追いかけててもいいじゃない?‘
中本さんも社長と同じようなことを言っていた
‘今まで、本気で小説家という夢に向き合ってこなかった気がします。これからは書く仕事で食べていけるように、本気で頑張ろうと思います‘
‘でも、ここまで勤めてきたのに勿体無いよ‘
中本さんは腑に落ちないようだ
‘社員のお話は、とても嬉しかったです。その事で、中本さんに一つお願いがあります‘
‘お願い?‘
‘はい。社員の話、私は断りますが、須藤さんにして頂くことできませんか?‘
‘須藤さん?‘
‘はい。須藤さんも経験年数もあるし、仕事もできます。正社員になっても申し分ないと思います‘
‘でも須藤さんは子どもがいるでしょ?彼女自身もそれでパートを希望してるんじゃないかな?‘
‘これからは、子どもがいても、正規雇用になれる時代だと思います。こんな小さい会社でも、子どもがいても正規雇用で働けるという事を、革新的に進めていくべきだと思います‘
‘何よりバイトもパートも正規雇用に移行していくという中本さんのご意向にも沿っていますよね?‘
私はこの1週間で出した結論を中本さんに伝えた
‘確かにそれはそうだけど?‘
中本さんは少し考えているようだ
‘それと、、‘と私は言いづらそうに話を続ける
‘中本さんの気持ちには応えられません。私にはずっと好きな人がいるので、例えその人と離れても、この先ずっと気持ちは変わりません。ごめんなさい‘
私は自分の気持ちを正直に伝えた
‘社員の話も、プライベートでも僕は玉砕か‘
ダブルでくるとこたえるな〜と中本さんはすごく残念そうだ
‘折角の話なのに、本当にごめんなさい‘
‘分かった。もういいよ。ダメなのは目に見えてたから。須藤さんのことは、僕なりに前向きに検討します‘
‘はい。有難うございます。須藤さんは本当にいい子なので、宜しくお願いします‘