一瞬キョトンとしてから、すぐに笑顔へ変わった。
「これね。お母さんが作ってくれたの。ボクの家サーカス団なんだけどさ、ボクもピエロになりたいって言ったらくれたんだ。」
思わずへえーと言ってしまった。家がサーカス団なんて、珍しいな。
「その、髪は？」
次に気になることを聞いてみた。今度はキョトンとせず、すぐに
「えっ、変かな？ピエロイメージ…なの。」
と答えた。ピエロになりたいだなんて、やっぱりちょっと変だな、と思った。でも夢があることって大切だし、ピエロになりたいというのもいいと思う。
「…いいんじゃない。」
そっとつぶやくと、ぱあっと顔を輝かせた。
「本当に？初めてそう言ってもらえた！君も、夢ってあるのかな？」
突然の質問だったけれど、迷いもせずにきっぱりっと言い放った。
「イラストレーターか、マンガ家。」
するとすぐに
「ステキな夢だね！こんな看板かけるなら、絶対なれるよ！」
と言ってくれた。ちょっと嬉しくなって、看板作りを頑張ろうと思えた。
あとちょっとを塗っていると、突然ピエロくんが言った。
「ボクにも絵を教えてよ。」
「えっ？」
思わず手を止めてしまった。
「だって君、上手いじゃん。いいなーと思ってさ。休み時間とかに。」
すごい嬉しくて、すぐに
「いいよ！」
と返事してしまった。