私たちが中学生だったあの頃から早10年。
もう私は立派な大人になっていた。
あの頃の私がずっと見つけられなかった夢、今は近くのスーパーで働きながら、主婦をしている。
結局、高校生になっても成人しても、夢は見つけられなかった。だけど、近くて給料が安定しているスーパーで働いている。
今は夫のニャンと、娘のなにでいと暮らしている。
ニャンと付き合ったのは、高校生の春。
向こうから告白してきた。正直、私は驚いたし迷った。
ニャンには中学生の頃にフラれている。そのあと、ニャンは意地の悪いニャンみちゃんと付き合った。そのあとの私とニャンくんの関係といえば時々会う友人だった。
高校生のその延長だった。
だから驚いたし、迷った。
でも話を聞くと、ニャンみちゃんとも別れたみたいだし、正直嬉しくもあった。なので「いいよ。」と言い、ニャンとの付き合いが始まった。
ニャンみちゃんと別れた原因は詳しく分からないが、きっとあの性格のせいだろう。なんだかスッキリした気もしたし、あの時のニャンみちゃんのように、「残念だったねー」と思った。
女ってこういう生きものなんだろうか。
今でも友だちの3人とは会っている。
リンルンはお母さんのお願いで市員になり、ももはイラストレーター兼マンガ家になり、たまは有名配信者になり、なるほどはサッカー選手になり…とみんな活躍している。
それが羨ましいし、私も負けてないと思う。

「お母さん?どうしたの、ニヤニヤしちゃって。」
なにでいの声がして、私はアルバムから目を離した。
「今ね、昔のアルバム見てたの。なにでいも見る?」
「見る!!」
娘とソファーに座り、アルバムを眺めた。
「うわ、このお母さん変な顔!」
「そうだね。」
「楽しそう!」
「ねー。」
色々反応しながら見ていると、ガチャッと音がしてニャンが帰ってきた。
なにでいがニャンの方に走っていき、ニャンに抱きついた。
「お父さん、おかえり!」
2人の様子を微笑ましく見ていると、洗濯機が鳴った。
ああ、私も忙しいわね。
洗濯物を畳んでいると、なにでいが来て手伝ってくれた。
なにでいの成長に、私は感動した。

夜、ニャンと2人きりでアルバムを見ていた。
「懐かしいなあ。」
しみじみとニャンがつぶやく。
「そうね。」
私が頷いた。
写真を見ているだけなのに、まるであの頃に戻ったようだった。
あの頃は色んなことが輝いていて、毎日が楽しかった。
友だちと出会えて、ニャンに恋して、…
鮮明に思い出される。
パタンとアルバムを閉じて、私とニャンは寝室に戻った。
布団には、寝ているなにでいがいた。

私たちはこれからも私たちらしく進んでいくーー。