幼馴染のローラに恋したのは、ごく最近のこと。
 このことは、妹のゲーニャンにしか言ったいない。
 ローラはオレと同じゲーム好きで、小さい頃からの友だち。
 親が仲良いということもあり、ローラとは長い付き合いだ。
 ただ、オレらは幼馴染という関係であり、恋人ではない。
 にも関わらず、オレはローラに恋してしまった。
 思春期だからだろうか。
 今までそういう風に考えたことなかったのに。
 周りにカップルが増えたからだろうか。
 同じサッカーチームの奴が恋したからだろうか?ライバル友が恋したから?
 でも、きっとローラは何とも思ってないと思う。
 幼馴染、としか。

 ――
 サッカーの練習をしていると、マネージャーの子が水筒を持ってきてくれた。
 水分をとり、教室に行くと、ローラを発見した。
 ふわふわでロングのポニーテール。くりっとした目。透き通るような声。
 オレは見惚れていた。
 いつのまにか、あんなに成長していた。
 ずっとオレの方が大きかったのに、中学に入ってから抜かされた。

ローラは人気者だ。
 女子からも、男子からも。
 見た目はもちろん、性格がいいのだ。
 優しいし、明るい。非の打ち所がないのだ。

 はあ、とため息を漏らす。
 最近では、中々しゃべれないし、一しょに遊んだりできない。
 ローラからも誘ってこないし、オレ嫌われたのかなあ…
 と思うと寂しくなる。
 小学の頃と中学でこんなにも変わると思ってなかった。

 たまーにローラが恋愛的に好きという男子がいるし。

 だけど…

 女子男子に囲まれているローラの下へ言った。

 近くに来ると、なるべく大きな声で言った。

「あのさ、ローラ。」

 ん?とローラがこちらを見る。
 一瞬ドキッとした。

「あの…今日放課後一しょ遊ばね?」

 一瞬シーンとした空気が流れた。

 あれ?ダメだった?!

 オレがアワアワしていると、1人の女子が言った。

「今日うちと約束あるんだよねー。ごめん。」

 だけど、女子はあからさまに謝る気がない顔だった。
 それどころか、哀れんだ目をしていた。

 ローラが言った。
「マイちゃん、ごめん。ムーゲ、わかった。遊ぼ。」

 オレを哀れんでいた女子はマイ、というらしい。
「はあ?」
 と不機嫌そうにしていた。
 そんなタイミングで、チャイムが鳴り、オレは席に戻り、ローラの周りの奴らも戻って行った。


 ――――
 放課後。
 ローラと待ち合わせた場所で待っていると、ローラが来た。
 私服を着ていて、なんだかドキッとした。
 オレも私服のパーカーだけど。

 公園でゲームすることにした。
 ゲームしていると、突然ローラがぽつりと言った。
「久しぶりだよね。2人でゲームとか。」
「そうだな。」
 ゲームをやりながら答えた。
「ごめん。最近忙しくてさ。でも、たまにはムーゲと遊びたくて。…ちょっと寂しかったし。」
 オレは嬉しくなった。そんな風に思ってくれてたなんて…!
「やっぱり、ムーゲが好きだよ。」
 一瞬ドキッとしたが、恋愛の好き、じゃないこともわかってる。
「うん、オレも。」
 いつか、ローラを、オレに対して恋愛の好き、にさせてやる。