パフとゆる生活

もかとピーチエンジェルは、今日もお気に入りの場所へ来ていた。
 ももさんが作ったサンドイッチをカゴに入れて。
 湖のそばにシートを広げると、もかとピーチエンジェルは座った。
 ピーチエンジェルの座り方といったら、かわいすぎるものだった。
 もちもちの体の下部分を曲げて、座っていた。
 なんで行動全てがかわいいの…!?
 ともかは感嘆した。
 カゴからもか用のサンドイッチと、ピーチエンジェル用のサンドイッチを取った。
 ピーチエンジェルにあげると、「パフふ!」と喜んでいた。
 ぱくっとかじると、ふわふわの生地でおいしかった。
 あっという間に食べおえると、カゴを持って再び探索した。

 やっぱりここはいいなあ…
 としみじみもかは思った。もちろん、この世界にいやな場所なんてないのだけど。
 それでも、やっぱりここは幻想的で、もかのお気に入りなのだ。
 ここへ来ると、家のような安心感もある気がする。何回も来ているからだろうか。


 しばらく歩いていると、人が見えた。
 珍しい、ともかは思った。大抵、ここは動物くらいしかいないのだ。
 実際に、今もその人ともかしかいなかった。
 恐る恐る、もかはその人に話しかけてみた。
「あの、アナタもお散歩に?」
 その人が振りむくと、若いふわっとしてる女の人だった。
 肩には、パフらしきものが乗っている。
 そこにピーチエンジェルが気づき、お姉さんに近づいた。
 もかは慌てたが、女の人はふわっと笑って、パフを肩に乗せた。
 ピーチエンジェルは大喜びだった。
「そう。私もこの子とお散歩。」
 お姉さんが言った。
 もかは聞けずにはいられなかった。
「その、肩に乗ってる子は、なんていうんですか。」
 お姉さんは微笑んで、言った。
「この子はいちごって言うの。ピンクだから。この子もパフの一種なのよ。かわいいでしょう?」
 もかは近づいて、じっと見た。
 とてもかわいかった。ピーチエンジェルとは似てるけど、顔が全然違う。
 目の中にひし形があって、まつ毛が3本あった。口は点。
「わああ、かわいいですね。」
 もかが言うと、いちごちゃんは「パフ…」と言った。
 ピーチエンジェルよりだいぶ声が低かった。
 気分を悪くさせたかと思い、もかは焦った。
 お姉さんはふっと笑って、「その子元からその声なの。本当は嬉しいのよ。ちょっとクールでねえ。」と教えてくれた。
 もかはほっとした。

 その後、お姉さん、ことはさんと帰った。
 カゴにパフたちを乗せ、来た道を戻った。
 どうやら、ことはさんの家も同じ方面らしい。
 運命だ、ともかは感じた。優しそうだし、仲良くなれるかも…

 先にもかの家に着き、ことはさんと別れた。
 カゴからいちごちゃんが降り、ピーチエンジェルだけを乗せて帰った。

 ――◇――
 家に着くと、ももさんが洗濯をしているところだった。
「ただいまあ。」
 というと、
「おかえりなさい。」という優しい声が返ってきた。
 近くに行くと、今日あったことを話した。
 それを、ももさんは嬉しそうに聞いてくれた。
 話しおえると、もかの頭を撫でてくれた。
「よかったわね。もかちゃんも、ピーチちゃんも。」
 ももさんが言った。
 ピーチちゃんというのは、ピーチエンジェルのあだ名だ。

 これが、もかとことは、ピーチエンジェルといちごの出会いだった。