1週間が経った。ついに、目的地であるお城へ到着した。1週間の間に、なそでいと3人はすっかり仲良くなっていった。辛い道もあったし、楽しいこともあって、ようやくたどり着いた。そして1週間で3人のことをよく知れた。妹も、知らない部分があって、知ることができて嬉しかった。まだリンルンが何もされていないことを願って、お城へ立ち向かう。でも着いた直後、全員相当疲れていたので、休憩してから行くことにした。そして、リンルンを取り戻す作戦を立てた。もう夜が遅いから、寝てから行こうとしたが、チャンスとも思えた。門番だって寝ているだろうし、王も寝ている可能性があるからだ。静まりかえった城で、作戦を実行するきとにした。門番が寝てるならヨユーと思ったが、まあバッチリ起きていたので、ヨユーではなさそう。作戦は2つある。1つは、たまの能力で、性格を丸くする作戦。性格を丸くしてしまえば、襲いかかってくることはないと予想した。もう1つは、桃の能力で長ーいはしごをスケッチして、出してもらう作戦。まず作戦1をやってダメだったら、作戦2をやろうというカンジ。まずはたまに行ってもらう。
 木の影から、3人は覗いていたが、たまが2人の門番の間でまるをしていたので、3人は一斉に城へ入って行った。
 まずは玄関ホールに入った。すごーーい広くて、何本もの柱が立っている。そして1番奥に、金ピカに輝く玉座がある。そこには、ぐうすか寝ているニャン王がいた。そしてはじっこに、檻に閉じっこもって…いないリンルンがいた。思わず叫びそうになった口を、みんな一斉に抑えた。音を立てないよう、そうっと歩いて、リンルンの元へ向かった。リンルンがみんなに気がついて、手をふってくれた。もうタッチできるくらいの距離になると、リンルンはそっとみんなに言った。
「檻にいなくてびっくりしたでしょう?アタシの能力で凍らせたの!さ、来てくれてありがとう!ココ出よっ。」
 みんなコクンとうなずくと、リンルンが何かに滑ってリンルンがドスーンと転んでしまった。その音に、王が目を覚ました。みんな顔が真っ青になった。急いで逃げようとしたが、玄関から門番が来た。しかし、たまを見ると帰っていった。しかし、帰りゆく門番とたまがぶつかってしまい、たまの飾りが落ちてしまった。するとまた門番はこちらに来て、たまが取ろうとしていた飾りを拾った。
「あの…返して下さい!」
「ハア?返すわけねーだろ?こらがなきゃ能力できないもんなあ?w」
 不気味な笑い声が響き渡った。
たまは震え声で
「ど…うして…そ…れを?」
 と聞いた。
「ハッ、オレのことナメてんのかあ?この城に勤められるのはよ、優秀な能力をもったやつだけだぞ?オレは界民とかの能力が分かるんだぜ。」
「そうさ。お前たちはもうおわり…。」
 王と家来のいやな笑い声が、響き渡る。
「能力」
「え?」
 黒い光がばっと集まると、なそでいたちに向かっていった。
 そして、ずっとなそでいたちを囲んだ。
「何…これ?」
「そのうち、分かるさ。」
「きゃあっ。」誰かの悲鳴が聞こえた。声の方を見ると、リンルンだった。
 手がなくなっていた。
「ほら、分かっただろう?それに触れた部分はなくなってしまうのさ。」
「何でこんなことするの?」
 おそるおそる、なそでいが聞いてみた。
「バカだなあ。邪魔だからだよ。ココは能力中心なんだ。お前みたいな能力なしなんて、いらないだろう?ついでに仲間も、な。」
 またもや、王と門番は笑い出した。どんどん黒い光は迫ってきている。
「ぎゃあっ。」
 またもや悲鳴が上がった。そちらの方を見ると、なるほどだった。
「あたしに蹴れないものなんてんてない、蹴っちゃえと思ったら…足がなくなって…」
 両足ともなくなっていた。たまも飾りなしでは何もできないし、なそでいは何もできない。桃もスケッチが黒い光に当たって、なくなってしまった。絶望に暮れた。
「体もそのうち全てなくなるだろう。ハーハハッ。だんだんと光は大きくなってゆく…!バアカwさようならあw」
 みんな泣きたくなった。こわくて、でもどうしようもできなくて…。このままこの世からなくなると思うと…。もう足もないし、手も、頭も、ついには顔だけとなってしまった。しかし、なそでいの体から何かが起こった。白い光が黒い光全てを壊した。
「なっ何だ?何が起こった!?」
 王も門番も大混乱。ちょっとすると、4人の体は元通りだった。
「は!?なぜ、黒い光が!?もう一度!」
 しかし、なそでいから出ている白い光に、次々とやられていく。
「どうなってるんだ!?」
 大混乱王と門番に、白い光が迫って――。
 白い光の中で4人はぽかんとしていた。1番、本人がワケが分からなかった。そして、白い光がなくなったかと思うと、王と門番がいなかった。そして…。
「えっ…!?」
 4人は思わず叫んだ。だって玉座にオーロラがすわっていたから。4人は急いで駆けよった。
「何で…女王が?亡くられたのでは…!?」
「わたくしにも、分からないのです。急に天からココに導かれて…。」
 こんな奇跡があっていいのだろうか?
「あの、ニャン、たち、は。」
 混乱しすぎて、カタコトになってしまった。
「ニャン?そういえば、天に2人来られましたが…。」
「え――――!?」
 4人は超大声を出した。
「…ねえ、アナタ何ていうの?」
「え、え、え、な、なそでいですが…!」
「なそでいさん、わたくしを助けて下さったのね!ありがとうございます…!」
「い、い、いや、や、いいで、ですよ!」
 嬉しさと感動でうまく喋れなかった。
「せっかくですので、パーティしましょう。」
「えっ?!」
 4人全員が驚いた。
「世界も救って下さった、ヒーロー方。」
 そう言うと、にっこり笑って、パーティ会場へ案内された。みんなで1つのテーブルにすわると、オーロラさんが喋りはじめた。
「わたくしは、なそでい、アナタの能力を知っている。」
「え?」
 びっくりして、声が裏返った。
「それは神の守り<シンピベール>。いざという時、アナタの望んでるようにしてくれる能力です。」
「え…そんな凄い能力が!?」
 また声が裏返った。
「ええ。世界1、素晴らしい能力です。」
「じゃ…何で…分からなかったんですか。」
「いざという時が、なかったからですよ。あれは、最大のピンチの時にこそ、現れるのです。」
「なぜ…女王はそれを…?」
「ふふ、わたくしの能力は宇宙1です。そう、この世界全てが分かるのです。」
「全てえ!!?」
 さっきから黙っていた4人も、声を出した。
「はい。女王ですしね。」
 にっこりとほほ笑んだ。
「重たい病気も、治りました。また女王として、よろしくお願いしますね。」
 4人は嬉しくてたまらなくて、大号泣した。みんな、オーロラが大好きだったから。こうしてまた、能力(ミラクルパワー)は元に戻った。能力関係なく、みんな生き生きと過ごしている。
 なそでいは長年の悩みが解決して、心が晴れた。両親もほっとしたようだった。まあ、あんまり関係ないけどね。それからまた、学校に通うようになった。妹と、3人の友だちと、ね。

 おわり