まだ誰も知らない恋を始めよう

「これもさ、答えたくなければ、言わなくていいけど。
 君は、魔力持ちなの?」

 彼女が話してくれることだけを聞くつもりだったけど、これは流石に知りたくて、口にしてしまった。
 

「魔力は持ってないし、魔法も使えない。
 ちゃんと10歳の魔法判定は受けてるから、本当に魔力無し」

「なら、君の邪なものを読み取る力は魔力じゃなくて?」

「能力、マッカーシー家の者が持つ能力、と父は言ったの。
 一族全員が同じ能力じゃなくて、わたしはただ目の前のモノから読めるだけ。
 もし、あの日あの場に居たのが兄のモーリスだったら、リリィが従姉から薬を渡されて、お金を受け取った場面まで、見えていたかもしれない」


 魔力じゃない能力、なんてものが存在しているなんて、聞いたことがなかった。
 不思議な力を持つ人達は、魔法士になるものだと思い込んでいたけど、現にこうしてダニエルは、魔法判定にも引っ掛からずに、俺と同じ普通の大学生だ。

 兄のモーリス卿の能力が、ダニエル以上に優れているのなら。
 モーリス卿があのクソ馬鹿野郎の家に遊びに行かなかったのは、子爵の不倫も、ニールの性根が腐っているも知っていたからか。