まだ誰も知らない恋を始めよう

   ◇◇◇


「ニール・コーリングとわたしの、母親同士は女学院の同級生でね。
 婚家は子爵位で同じだし、お付き合いは続いてた。
 うちの父はご存じのようにずっと国外に出ているし、ニールの父親だったパーキンス子爵は王城勤務。
 今から思えば、最初からニールはわたしを下に見ていたのだと思う。
 僕の父親は王城でバリバリ働いているのに、エルの父親は何処に居るのか分からない、って。
 兄のモーリスは母から誘われても、パーキンス邸には付いて行かなかったから、1度会っただけで彼の優越感に気付いていたのね。
 ニールの物言いはいつも偉そうで、決めつけられる事も多かったけど、わたしは格好良い彼が好きだった」

「……ダニエル、無理に話さなくてもいいよ」

「話したいから、聞いて」


 無理に話さなくてもいいよと気遣う彼を遮り、わたしはニールとの経緯を話し始めた。


「その日は、パーキンス夫人からお誘いを受けて、母と行ったの。
 子供には大人の話なんて退屈で、何とは無しにメイドがお茶を入れている姿に意識が向いて、分かったの。
 彼女が物凄く緊張をしていて……1客だけに何かを入れた事を」

「メイドがお茶に何かを入れたのを、見た?」

 入れているのを見たのかと聞かれて、わたしはどうとでも取れる曖昧な笑顔を見せ、答えるのを避けた。