まだ誰も知らない恋を始めよう

 またもや、おずおずとフィンがそれを口にした。


「こんな事を先に言うのは、君の気分を害するのかもしれない。
 でも、この件が無事に解決したら。
 君が言ってくれる金額を、出来るだけそのまま支払うようにする」

 彼が何を言ったのか、直ぐには分からなくて。
 返事が出来なかったけれど、わたしを見上げるフィンの目を見て……言いたい事が分かった。


「……つまり、貴方が見えるように、わたしが協力して。
 この状態が解決すれば、報酬は思いのまま、ってこと?」

「あぁ……ごめんなさい。
 何て言えばいいか思い付かなくて、失礼な物言いになったかもだけど。
 君への御礼に相応しいのは何なのか分からなくて、お金の話をしてしまった。
 もちろん、このままの状態で、俺が誰からも見えないままでも。
 どうにかして父か祖父には理解して貰うから、君にはちゃんと御礼をさせて欲しいんだ」


 フィンはすごく済まなさそうに、恐縮しているけれど。
 わたしは別に腹を立ててない。
 彼は単に、ひとりで居るのが寂しくて。
 自分が見えるわたしに懐いてここまで付いてきた、と思ってきたけれど。
 この問題を解決するには、誰にも見えない、誰にも声が届かない自分だけではどうしようもなくて。
 代わりにわたしに窓口と言うか、そんな風に動いて貰いたかったんだ、とようやく理解して。