まだ誰も知らない恋を始めよう

 家を出たとは言え、この家の税金や光熱費、その他諸々の生活維持費は兄が支払ってくれていて、わたし本人は食費を稼ぐくらいで済んでいる。


「お父上の……居場所とかは把握……出来てる?」

 簡単にざっと我が家の状況を説明すれば、フィンが言いにくそうに父の事を尋ねてきた。
 

「そうね、フィンよりは行方不明に相応しい父だけど。
 年に何回かはわたしを思い出して、現状報告みたいな手紙とお小遣いを送ってくれるの」

「お、こづかい……」


 そこから先は何も聞かれなかった。
 年に数回の手紙と送金ぐらいでは、フィンにとっては問題案件のままなのだろう。
 まぁ、他人事なので、ほっといてくれたらいい。
 自分の家が普通じゃないのは重々承知しているが、各家庭にはそれぞれ事情があって、うちはうちで今のところは上手く回っているからだ。


 取り敢えず、これから夕食を作る。
 1人分の食材を2人で分けるのだからメインは少ないが、結構じゃがいもがあったから、それを蒸かすのと揚げるのとで2種類作れば、どうにかなるな等と段取りを考えて立ち上がれば。