まだ誰も知らない恋を始めよう

   ◇◇◇

  
 とうとうフィンが3年の修行を終えて、帰国する日になった。

 わたしの不安も、ステラの心配も、何のその。
 わたし達は別れる事なく、この日を迎えた。
 午前中に戻ってきていた彼は、わたしの職場まで迎えに来てくれる事になっていた。


 わたしが就職したのは母校の図書館。 
 最終学年時に、図書館司書の資格を取った。

 今日は凄い発見があって、それを早くフィンにも教えたいわたしの足は、待ち合わせ場所へ急いでいる。


 そこは西棟を抜けた中庭で。
 わたしがフィンと初めて会った場所だ。
 彼を見つけたこの場所から、わたしの恋は始まった。

 
 夕暮れ時の中庭は人影もまばらだが、ベンチに腰掛けた彼を遠巻きにして、声を掛けるチャンスをうかがって牽制しあっている派手女子グループが何組か居る。

 フィニアス・ペンデルトンの現役時代(キラッキラの皆の王子だった大学生の頃ね)を知らない子達だが、彼を見掛けて、ここまで付いてきたか。

 でも残念ながら、彼はわたしのお手付きです、あきらめてくださいね。
  

 それでも、若い子達に声を掛けられたくないから、わたしは急ぐ。


「はぁあフィ、フィ……フィン…… はぁ……」

 日頃の運動不足が祟って息があがって、みっともない位にスムーズな声掛けにならなかったのは相変わらず。


「そんなに急がなくても、良かったのに」

 フィンはわたしを笑うけれど、早く伝えたい事があるから、仕方ない。