まだ誰も知らない恋を始めよう

「そんな嘘に騙されちゃうなんてね。
 恋する女の子は、可愛いね。
 それから、本当は目は悪くないんでしょ?
 だったら、その眼鏡は外しなよ。
 似合ってるけど、綺麗なその目を隠すのは勿体ないからさ」

 21歳の恋愛初心者が、12歳の早熟クソガキに諭され、そのうえ。
 目を隠すのは勿体ない、とフィンと同じ事を言う。


 9歳も年上の女を貶して嗤って、最後には口調も変えて優しく微笑んで、女の子扱いする俺様美少年、とは。
 もう、クソなんて付けられない……末恐ろし過ぎて。


  ◇◇◇


 自宅近くのバス停から、家まで徒歩で約20分。

 先週の土曜日は、フィンとムーア百貨店の高級牛肉を買って、この道を2人で歩いた。

 その道を、今日は1人で歩くわたしの手には、シーズンズの名物のフルーツサンド。

 これは帰り支度を終えて出てきたヒューゴさんに貰ったもの。
 渡された紙袋が普通より重く感じたので中を確認したら、何故か2人前入っていた。

 シーズンズのフルーツサンドは結構お高いのに(従業員割引があっても)、それも2人前も。