まだ誰も知らない恋を始めよう

「教会の司祭様が、そんないい加減な……」

「翌日、憔悴した母は次は霊能者を呼び出して、帰ってこないひとり息子の名前を悪魔に騙られるのは、もう亡くなっていて地獄で苦しんでいるからか、と尋ねた。
 その霊能女は具体的なことは何も言わず、必ず息子さんは戻ってくると信じましょう、と母と共に泣いて、高額な謝礼と鑑定料を受け取って、ホクホクして帰った。
 それが5日前に身体が消えてからの最初の2日間。
 もう余計なことをして、今も寝込んでいる母をあんな奴等の食い物にされたくない」


 母には姿が戻ってから会う、と彼は言って。
 その気持ちは、わたしにも伝わった。
 お母さんという人種には心配はして欲しいのに、必要以上に泣かせたくないよね。
 そんな気持ちは理解出来るから。

 でも、他には?
 彼には立派な父親や、今でも元気で現役な祖父が居たはず。
 あの人達なら、感情的にならずにフィンを受け止められるのでは?


「じゃあ、父親は、って話だよね。
 うん……昔は色々思うところはあったけど、今は割りと普通に出来てる。
 あっちは、俺がとうとうバカをやって帰ってきてないだけ、と受け取ってて。
 母の気が済むのなら、悪魔祓いでも霊媒でも何やってもいいって感じで。
 俺がこのまま連絡も無く1ヶ月過ぎたら警察に届けるかって、秘書に話しているのをこの耳で聞いたから」