まだ誰も知らない恋を始めよう

 ずっとわたしの方を見てくれなかったステラが、視線を合わせて頷いてくれた。
 恋人(既に婚約者か)が怪我をして、病院行きになったのだ。
 その心配が先立って、わたしへのモヤモヤは一旦消えたみたいで、もう彼女の心は読めなくなっていたから、ひとまずホッとした。  


 2人を見送って、皆が三々五々解散した。
 主催のペンデルトン夫妻は来客の出迎えに行き、メイド達が破片を拾い集め、床を掃く。

 そして、わたしは叔母とベッキーさんに合流した。


「目の前のペンデルトンさんよりも遠くに座っていたあの男の方が、メイトリクスの臭いをさせている気がしたのよ。
 それを伝えようとしたのに、ダニエルがさっさと出て行っちゃうから」

「あの男と何か、あったんですね?
 ……それで? 貴方が彼女を守ったの?
 フィニアスさん?」

 ロジャーについて注意をしたかったらしい叔母と同時に、ベッキーさんもわたしの隣に目を向けて話しかけたので、何も見えない叔母が驚いていた。


「今、そこにフィニアスさんが?」

 兄には彼が見えていたのに、何故か叔母には見えないようで、同じマッカーシーでも、1つとして同じ能力ではないんだと知った。


 ベッキーさんが言う通り、フィンはあれから直ぐに1階に降りてきて、ずっとわたしの隣に居てくれたのだ。