まだ誰も知らない恋を始めよう

 ベッキーさんは魔法学院の時とは違い、鮮やかな笑顔を見せてくれるけれど。
 彼女がこの場に居ると言うことは、つまり、ペンデルトン氏は魔法庁、もしくは魔法学院にこの件を依頼した?


「ダニエルさん、ご心配なく。
 今日は、魔法庁は通してません。
 個人的に頼まれたので来たの」


 個人的に?
 それが顔に出ていたのだろう。
 叔母が取り繕うように、ベッキーさんに話し掛けた。


「ペンデルトンさんにも、外れの捕縛には魔法士の力をお借りしないとどうにもならない、とは相談していましたし。
 魔力無しのわたし達では、見つけても捕まえるのはどうすればいいか、困っていましたの。
 お出でくださって、ホッと致しました」

「いえ、こちらこそです。
 あの男が目の前で魔法を露現させない限り、こちらでは特定が出来ないものですから、お力をお借り出来て、本当に助かります。
 チャールズ卿もそうですが、外れを見つけるマッカーシーの能力には感服致します」


 そうだった、魔法については素人のわたし達では黒魔法を操るメイトリクスをどうする事も出来なくて、今夜はあの男を密かに特定するだけだった。

 ペンデルトン氏から、魔法士に知り合いが居るので、特定だけしてくれたら後はこちらで……と言われたのは、ベッキーさんがその知り合いだったのね。