まだ誰も知らない恋を始めよう

「普通なら『悪意を嗅ぐ力』等と言われても笑い飛ばすところだが、私はマッカーシー子爵家の男が持つ力を知っている。
 何よりダニエル嬢だけにお前が見えるというのは紛れも無い事実だ。
 だから信じるしか無かった。
 私の身の回りに居る誰かに、外れが変身魔法で成り替わっている、と」 


 ……本当に? 本当に、この男は俺の父親なのか?
 メイトリクスではなく? 

 それでも、確認のため、俺は質問をした。


─ あんたが本物の俺の父親だと言うなら、俺の犬の名前を言ってみろ

「……アルフィー、アルフレッド・ペンデルトン卿」


 目の前に居るのは、俺が愛したアルフレッド卿が8年前に亡くなった時、一晩中無言で側に居てくれた父だ。


   ◇◇◇


 ようやく本物の父親だと認めた俺に、父が続きを話した。


「身近と言われて、手前の秘書室から始めて、各部署を3人で順番に回った。
 結果、ダニエル嬢にも、レディ・アリアにもメイトリクスは引っ掛からなかった」