まだ誰も知らない恋を始めよう

 火曜日、日がな1日ずっと寝ていた。 
 
 昨夜、父とのやり取りで上手く受け流す事が出来ずに、書斎から敗走したのを恥じて、ふて寝していた訳じゃない。
 あれからベッドで横になっても、しばらく寝付けなかった。


 父はダニエルと俺が恋人同士だなんて、最初から信じていなかった。
 マッカーシー家の力の事も知っている感じだった。
 だから俺を見つけられたダニエルを疑っている。
 彼女には何かがあるに違いない、と調べるようバーグマンに命じる姿が目に浮かぶ。


 俺が頑なに魔法庁に関わることを嫌がったせいか。
 また俺が余計な真似をして、彼女を窮地に立たせているのか。


 そんな風に自分を責めて、落ち込んで、悶々として。
 それで夜明けまで、寝付けなかった。


 だらだらと時間をかけてベッドから起き上がり、カーテンを開けて外を眺めると、もう日が暮れかかっていた。
 夕方まで寝ていた事に、自分でも呆れる。

 朝も昼も抜いているのに不思議と空腹ではなくて、それよりも。
 今日も夕食は父の書斎でか、と思うと軽い絶望に襲われた。
 

 とりあえずは着替えだと、ぼーっとした状態でドレッシングルームに入り、クローゼットを開ければ、ホテルのランドリーサービスに出していた洋服が戻ってきていた。


 確か、ロジャーが俺の服だと報告してくれたんだっけ……
 アイツには俺が元に戻れたら、その御礼と疑ってしまった事のお詫びも兼ねて、美味いものと美味い酒を奢らなきゃな……
 うん、元に戻れたら……それがいつになるか、分からないけど。