まだ誰も知らない恋を始めよう

『俺達の出会い及び交際開始』は待たされている間に俺が決め、ダニエルに了承して貰った。
 俺が彼女の事を知ったのは、借りた本を先に彼女が借りていたから、と言うのはダニエルには知られていないが。
 この経緯なら学部の違う俺達が偶然知り合って、仲良くなっても不自然には思われないだろうからだ。



「まぁ、あの子が図書館に!?
 読書をするような……大学に進学してからはどちらかと言えば、パーティーだの、何だのと昼夜問わず外に出てることが多くて。
 昔は物静かに絵本を眺めていたようですが、今では家の図書室に行くことも無いように思っていましたわ。
 また本を読むようになったのは、貴女の影響なのかしら」

「いえ、元々読書はお好きだったと思います。
 その……大学生になってからパーティーだのと仰られているのは、フィニアスさんを慕う友人が多くて、集まりにはよく声をかけられていまして、義理で顔出しをされて、1時間ほどで帰ると有名でした。
 ですので、わたくしが知るご子息は真面目に経営学を学んでおられて、決して昼夜問わずに遊ぶような方ではありません」

 静かではあるが、きっぱりと否定してくれたダニエルの手に、俺は嬉しいの意味を込めて軽く触れた。