まだ誰も知らない恋を始めよう

「大丈夫、父に頼むわ。
 その外れの名前さえ分かれば、父ならその跡を辿れる!
 時間は掛かるけれど、一生このままじゃないから!
 絶対に、貴方は以前の自分に戻れるから!」

「……あぁ、でも、これ以上……君やご家族に迷惑を掛け続けるのは……」

 さっきは振りほどいた彼の手を、わたしは両手で握った。


「乗りかかった船は途中で降りられないし、降りる気もない。
 任せてなんて言っても、人に頼るだけのわたしだけど。
 最後まで付き合わさせて……」

「ダニエル、俺、俺は……」

「……だからさー、いちゃつくのはやめてよー」

 笑いを含んだオルくんの言葉が聞こえ、わたしは我に返った。
 気が付けば、オルくんはニヤニヤ笑っていて、ベッキーさんは明後日の方を向いていた……

 この2人には、フィニアスの存在を知られているので、お前1人で何やってんだ、と言う感じではなくて。
 お前ら2人で何やってんの、なんだろう。
 つい、他の人が居ることを忘れてしまうわたしは、相変わらずで、恥ずかし過ぎる。
 慌ててフィニアスの手を離して、座り直したわたしをベッキーさんが微妙な表情で見ていた。