まだ誰も知らない恋を始めよう

「お兄さんは、俺に何か言ってんだよね。
 それは気配で分かるんだけどさ、悪いねー。
 俺には姿は見えないし、声もちゃんと聞こえないんだよね。
 でも、師匠からの攻撃の盾になるつもりで、お姉さんに抱きついて、守ろうとしてるのは分かるんだよなぁ、意外と根性あるね?
 と言うわけで、これからはお兄さんの言ってる事は、お姉さんが俺に通訳してよ」

 後から現れて、ぱぱっとこの場を仕切る少年に、ベッキーさんもため息をついた。


「オル、珍しいね、お前は面倒事が嫌いだろう?」

「だってさぁ、ディナの紹介でしょ?
 嫁の頼みは聞かないとね」

 よ、嫁? ジェリーのこと、嫁って言った!?
 彼はまだ、15にもなってないよね?
 幾つ? ジェリーと幾つ違うの……
 てっきり、親戚の子かと思っていたけれど、もしかして婚約者なの?


「失礼しました、驚かれましたよね。
 このオスガキの名前はオルシアナス・ヴィオン。
 この学院の誰よりも、鼻が効くんですよ……狼並みに。
 そちらの彼に掛けられた黒魔法が誰の仕業かも、オルになら特定も可能かと」