まだ誰も知らない恋を始めよう

「ロジャー……」

「もしかして、御存じですか?」

「……ロジャー・アボットは僕の従兄だから」
 

 ステラの彼氏がフィニアス・ペンデルトンの従兄?
 そんな話、彼女から聞いていない。
 恋人がペンデルトンの一族なら、わたしに自慢しそうなんだけど。
 
 ふたりの出会いは、ロジャーがステラのご両親が経営しているレストランの常連で、ずっと彼が気になっていたステラから告白して、だ。
 ステラは彼に夢中だし、ふたりの交際はご両親も認めていて順調だと聞いているのに。
 まさかロジャー・アボットは、自分の出自をステラに話していないの?

 等とあれこれ考えていたら、フィンが
「よし、行くよ」と急に言い出した。
 やはり、ロジャーの名前を出したのは正解だった……のかな?


「友人がまだ第3カフェで待っててくれてるはずなの。
 わたし、貴方を見かけて荷物全部置きっぱなしにして、何も言わずに追いかけてしまったから心配させ……」

「あの……何度も聞くけど。
 本当にダニエルには、僕が見えてる?」

 は? 何度も、って自分でも分かってて、また聞くの?
 それも人の言葉を遮ってまで、聞く?
 さすがに、それってどうなの!? となったわたしに、フィンが手を差し出す。


「握手してみてくれないかな」

「え?」

「僕と握手して」

「……わかった」