書いた内容でも確認しているのだろうか、伏せた目が右に左に動いている。

これは何の時間だったんだっけな…

教室にはこいつと俺しかいない。

穏やかな昼下がり。

背中に受ける太陽の光が少し暑い。

「彼女、なんで作らないの?」

「えっ…」

その声に、視線を戻す。

光をいっぱいに受けた茶色い瞳を俺をまっすぐに見つめる。

「…」

一瞬、ドクンと胸が大きく弾んだ。

「まあ、俺イケメンだしな?」

乱れた鼓動をごまかすように、いつもの調子で返してみる。

「うん。そうだね。」

まったく感情のこもらない素っ気ない返事が返ってくる。

同意されているはずなのに、否定されている気さえする。

「俺に釣り合う女子がいないんだよ。」

なんだかムキになって、思ってもいないことが口をついて出てくる。

こんなこと言ったって意味がないって分かっているのに、引けない子供みたいだ。

何を言っているんだ俺は…

「ふーん。」

そんな俺にもお構いなしに、興味のなさ全開の返事がやはり返って来るのだった。