まさか自分に向けられた言葉だとは思わなかった私は周りにいた生徒たちが色めき立つ中、思いっきり顔を引きつらせた。
その男子は先ほど(なんか全然図書委員っぽくない子が入って来たなぁ。ジャンケンで負けて仕方なくとかかな)と、こっそり思っていた子で。
その子が大きな声で続けた。
「俺と付き合ってください!」
「えっと……もしかして、罰ゲームかなんか?」
「違います! 真剣に告ってます!」
また周囲から口笛やら黄色い声が上がって、私は逃げ腰になりながらなんとか小さな声で答えた。
「悪いけど、私彼氏とか作る気ないから」
「そ、そうですか……」
しゅんと眉を下げた彼を見て少しの罪悪感を覚えて、でも彼はすぐに満面の笑みで言った。
「わかりました! 鈴音先輩に好きになってもらえるように、俺頑張ります!」



