鳴神くんは理想の男子? 〜本好きの地味子ですが、陽キャな後輩くんになぜか懐かれています〜


 と、カウンター内に入ってきた鳴神くんは私の隣に並んで言った。

「そうだ、先輩聞いてください!」
「わかったから、ここ図書室だから少し声抑えて」

 そう窘めるが、ほぼ変わらない声量で彼は続けた。

「俺、この間の身体測定で174になりました! 去年より3センチも伸びたんですよ!」
「そう、良かったね」
「確か先輩の理想って175以上でしたよね?」
「……私、そんなこと言ったっけ」
「言いましたよー。あと1センチなんてきっとあっという間なんで、待っててくださいね!」
「いやいや、175になったからって付き合うわけじゃないから」
「えー、そうなんですか? さっすが先輩。手強ぇ〜。落とし甲斐があるってもんです」

 そんなことを超絶笑顔で言われて私はまた溜息を零したのだった。