「あ、そうだ。いづみ先輩から聞きました。先輩、一年の女子たちからなんか色々言われたみたいで」
「え?」
(いづみから……?)
「彼女たちには俺から強く言っといたんで、もう先輩に迷惑かけることはないと思います。俺のせいでほんとすみません」
「う、うん?」
「だから、先輩……」
そこで急に立ち止まった鳴神くんに真剣な眼差しを向けられてギクリとする。
「――も、もう大丈夫そうだから、降ろしてくれる?」
慌てて私はそう声を上げていた。
……でないと、この距離の近さにそろそろ心臓がもちそうになかった。
「あ、はい」
そして鳴神くんはゆっくりと私を降ろしてくれた。
「大丈夫そうです?」
「多分……」



