いつの間にか雨は止んでいて、世界は夕焼け色に染まっていた。
オレンジに照らされた鳴神くんの横顔がとても綺麗で――。
「先輩?」
ふいに目が合って、思わずさっと視線を逸らしてしまった。
「……俺のこと、怖くなりました?」
寂しそうに言われて、私は慌てて首を振る。
「そ、そういうわけじゃ……!」
そういうわけじゃない。
怖いわけじゃなくて、これは――。
(鳴神くんがカッコ良過ぎて、まともに顔を合わせられないなんて言えるわけない……!)
きっと今、私の顔は真っ赤に染まっているのだろう。
夕焼けのお蔭で誤魔化せていると思いたいけれど。
さっきからずっと胸のドキドキが治まらない。
理由はわかっている。
――少し強面のイケメンで、身長は175cm以上。
――優しくて、それでいて実はめちゃくちゃ喧嘩が強いとかギャップがあったらもう最高。
――更には頭も切れて、良いとこの御曹司だったりしたら尚良い。



