一瞬だった。
鉄パイプや金属バット、様々な武器を手にした男たちが今は地面に転がって呻いている。
私はその間、呆然と彼を見ていることしか出来なかった。
――なんて強さだろう。
「ヒャッハーー!」
最後、ひとり残った御影が狂ったような笑い声を上げた。
「さっすが、最強で最恐で最凶の総長!」
「……」
「でーもー、今はこの俺が総長なんで、『元』総長なんかに負けるわけにいかねーんすよ!!」
御影が凶悪なナイフ片手に彼に向かって行く。
普通なら悲鳴が出てしまいそうなシチュエーションなのに、それも私はただ静かに見守っていた。
先ほどの彼の立ち回りを見ていて、彼が負けるはずがないという絶対的な安心感があった。
――そして、勝負は呆気なく決まった。



